メディアミックスも多くされている超人気作家の辻村深月先生。筆者も大好きな作品がたくさんあります♡ …でも、言いづらいのですが、ちょっとえぐい作品多くないですか?(^^;
人間の嫌な部分を炙り出すような作風で人気の辻村先生ですが、エログロ駄目な私にはトラウマ級の作品も多いです(面白いから読んじゃうんですが)。
そこで今回は、私と同じ怖がりさん向けのおすすめ辻村深月作品を徹底解説します!
この記事で紹介する作品
下記の条件に当てはまらない、怖くない・グロくない作品を私の主観で厳選しています!
- ホラー
- 殺傷シーンなど、直接的なグロい表現がある
- 幸せとは言い難い性的シーンがある
- 直接的エロ・グロ以外にも、読んでいて辛い内容や、苦手な人が読んだときにトラウマになりそうなえぐい内容がある
怖がりさんが読んでも大丈夫な辻村深月作品はこちら!
『スロウハイツの神様』
入居者のひとり、チヨダ・コーキの作品を模倣した凄惨な事件が起きたことがあるという設定ですが、過去の事件で詳細な描写はないので、グロくない判定にしました。
また、えぐいいじめの描写も若干あるのですが…同じく過去の出来事で登場人物たちの中では消化済みと感じられたので、作品全体としてはえぐくないと判断しました。
序盤が長くて挫折しそうになるかもしれませんが、読み飛ばさないで丁寧に読んでほしい作品。終盤にかけて、散りばめられた伏線が回収されていくのがめちゃくちゃ気持ちいいです。コーキの心の傷が癒えていく様子に心打たれます。
『名前探しの放課後』
私の最愛小説です。とにかく素晴らしい。ミステリー小説として優れているのは勿論なのですが、『名前探しの放課後』はなんといっても丁寧な心理描写が最高な作品です。
いつかとあすなが不器用に距離を縮めていく様子にときめきが止まりません…。とにかく一度読んでいただきたい作品です!
『本日は大安なり』
不倫カップルや、彼氏を奪った女の式を担当することになったウェディングプランナーなど、不穏な気配しかない4組。辻村深月先生らしい人間の嫌な部分を存分に感じることのできる作品です。
4組の挙式当日を群像劇的に描き、途中はかなりハラハラしますが、4組ともすっきりオチがつきます。
読んでよかった!と素直に思える作品ですよ。
『ツナグ』
生者と死者を結ぶ「ツナグ」をめぐる連作短編集です。
ひとつ、個人的にエグい判定アウトな短編があります。ですが、全体としての読後感は良いこと、単純に多くの人に読んでほしいと思える名作であることから、作品全体としてはセーフにしました。
読みながら、自分だったら誰と会いたいかな…とついつい考えてしまいました。読み終わった後もずっと心に残る作品です。
また、続編の『ツナグ 想い人の心得』がとても良いので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
『サクラ咲く』
繋がる連作短編集です(短編というよりは中編かな)。
登場人物の異なる3作を収録しています。
どれも中高生たちの温かな交流が素敵な作品です。
辻村深月先生の心理描写はどの作品でもすごいのですが、特に中高生の感情を言語化するのがとても上手くて、「ああ、こういうことあるある」と感情移入して読めます。
派手さはありませんが、辻村作品のツボはしっかり押さえられており、入門にちょうど良さそうな一冊です。
『島はぼくらと』
優しい気持ちになれる青春小説です。島の子という共通項があるものの、通っている本土の高校ではほとんど関わることのない4人。でもお互いの存在を居心地よく感じているのが分かります。
離島という特殊な舞台ですが、恋愛や親との関係など、高校生なら一度は感じるような悩みが多く、共感しながら読めました。現役の学生さんにもぜひ読んでいただきたい一冊です。
『ハケンアニメ!』『レジェンドアニメ!』
アニメ業界を舞台にした連作短編集です。読んでいくうちに、ひとつのアニメが様々な人の力が合わさって作られていることが分かって、アニメに詳しくない筆者でも胸が熱くなりました。
続編となる短編集『レジェンドアニメ!』も良いです!
各キャラクターたちの過去やその後が分かり、読み応えがありますよ~。
私が特に好きなのは「ハケンじゃないアニメ」の話。
『東京會舘とわたし』
実在する建物・東京會舘と人々の歩みを描いた大作です。
東京會舘とともに歴史を旅しているような気持ちになります…。
辻村深月先生が東京會舘を敬愛されているのがよく分かる作品です。
私が好きなのは、東京會舘のお料理教室に通ってくれと妻に頼んだ旦那さんのお話。とっても素敵なご夫婦なんです。
『かがみの孤城』
本屋大賞もとった人気作。辻村深月先生と言えば、『かがみの孤城』を思い浮かべる人も多いのでは?
『かがみの孤城』は、様々な事情で学校に居場所を失った子どもたちが心を通わせていくストーリー。穏やかに話が進んでいくのですが、終盤はページをめくる手が止まらなくなるくらい迫力のある展開です。
やはり辻村深月先生の青春小説は最高。
『青空と逃げる』
冒頭から不穏で「うわぁこれはえぐそうだ」と思ったのですが、そんなことはありませんでした。
逃避行のうちに母と息子が心を通わせていく様子や、母の愛、息子の愛が丁寧に描かれた良作です。
ミステリーとしてはあまり意外性はないかもしれませんが、人との出会いが母子を変えていく様子はとても読み応えがあります。
2人がどんな未来を選ぶのか、ぜひ見届けていただきたいです。
『この夏の星を見る』
ついに来ました、コロナ小説(?)。
「あの」2020年を、中高生たちの目線で描いた群像劇です。
あっと驚く仕掛けはありません。
一人ひとりの迷いや葛藤が丁寧に描かれた最高の青春小説です。
最後はきっと笑顔で、温かな気持ちで読み終えられるはず。
『ロードムービー』※短編集
グロ判定アウトのため、この記事では紹介していない『冷たい校舎の時は止まる』の登場人物の過去や後日談を描いた短編集です。
本編とは独立した内容なのでご紹介します。
辻村深月先生らしい、ちょっと胸が締め付けられるような短編ばかり。短編集がお好きな方はぜひ。
ちなみに私は下調べをせずに辻村作品を読み始めたので、本編より先にこちらを読みましたが、特に問題なかったです。
『光待つ場所へ』※短編集
こちらも辻村先生の過去作品の登場人物たちの短編集です。『冷たい校舎の時は止まる』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』ですね。
私は冒頭の才能にまつわる短編がお気に入りです。※元ネタは『冷たい校舎の時は止まる』
『ロードムービー』と同じく、私は予習なしで読みましたが楽しめました。本当にズボラですね(笑) 気にならない方はぜひ!
『クローバーナイト』※短編集
主に子育て世代の家族を描いた短編集。保活の闇などに切り込んでいます。
現在の社会問題を描く面が強く、最近子育てをした人以外には共感しにくい内容かもしれません。
私は全く詳しくない分野なので勉強になりました。
『家族シアター』※短編集
様々な世代の家族を描いた短編集。『クローバーナイト』よりも、多くの人がちょっと心当たりのあるようなお話が多いと思います。
近い存在だからこそ、ちょっとしたことですれ違ってしまった家族の関係を、厳しく、そしてあたたかく描いています。
『噓つきジェンガ』※短編集
「詐欺」をテーマにした3篇からなる短編集。
比喩的な意味での「詐欺」ではなく、ガチ犯罪の詐欺です。
騙す側・騙された側、両方のお話で構成されています。
自覚なく、あるいは軽い気持ちで詐欺の世界に足を踏み入れてしまい、後戻りできなくなる様子がもう恐ろしくて仕方ない。
ハラハラしながら読み進め、でも最後はなんとすっきり爽快。
…という不思議な読み味の作品です。
テーマがテーマなのでちょっと迷いましたが、希望のある作品なのでこちらに入れました。
おわりに
ちなみに、ここに挙げなかったえぐい作品でも面白いものはたくさんあります…!
心がしんどいので2回読みたいとは思いませんが、『冷たい校舎の時は止まる』『朝が来る』『琥珀の夏』はめちゃくちゃ面白かったので、グロ耐性のある方、むしろ好き!な方はぜひ。
この記事で選外となった<黒>辻村深月作品リストはこちらにまとめています。