八咫烏シリーズ第二部第5巻、クライマックス目前の『亡霊の烏』のネタバレ感想です。
書いててかなり私怨っぽくなったので公開するか迷ったのですが、まあ感想は感想だし…ということで出しちゃいます。
いまだに雪哉を憎めない人の感想です。
感想!
紫苑が気持ち悪い…
『亡霊の烏』読み終わってまず思うことですが、あの、紫苑気持ち悪すぎませんか。
ラストの支援者たちを前にしての長広舌…さすがに意味分からないのですが…。
幼いときの姿も、親を亡くしたときのことも全て知っていて、だから正直彼女を悪く言いたくない…。
言いたくないんですけど、紫苑こそ人のこと駒としか思ってなくない?
途中挟まれる野良絵制作で摘発された男のくだりで、男の妻が言っているのがとても正しいと思うんですが…、
こんなことやってたら捕まるに決まってる。
そんなこと分かりきっているのに、頭の足りない民衆に片棒を担がせる…っていうのは、世間知らずのお姫様にしてもちょっと…。
自分を慕って信じてついてきている人間のこと、どうなってもいい、自分の理想のために死んで構わないと思っているのがちょっと無理すぎる…。
ほんと雪哉贔屓で申し訳ないんですけど、雪哉は絶対そんなことしない。
敵対する人間には容赦ないけど、自分を信じて従っている人間を陥れることはしない。
例えば、凪彦の言うように治真を残酷に尻尾切りするイメージが全くわかないんですよね…。
切らないといけない状況になったら切るよ、と事前に説明して本人納得の上切るっていうのはあるかなと思うんですけど、騙し討ちはしないだろうなと。
そこで喜んで切られちゃうであろう治真が気持ち悪いのですが、
治真の雪哉への妄信は治真の気持ち悪さであって、雪哉の気持ち悪さではないと思うんですよ、なんかこういうのも全部雪哉のせいになるけど…。
紫苑の気持ち悪さは伏線なのか
話を戻して、この紫苑のあまりの気持ち悪さ、さすがに伏線として狙ってやってる…よね…?
次巻で報いを受けるんだよな?これが肯定される世界であってほしくない…。
今回路近と山吹の発言がポイントかなと思っていて。
路近は「自分が被害者だと思い込んだとき、人は最も残酷になれる」と。
山吹は鶴が音への説教の中で、「それぞれの立場でそれぞれの正しさがある」と。
これ、どちらも紫苑の行動に当たっていると思うのですが、
雪哉は自分が悪と捉えられることを理解した上で、自分が正しいと思うことを行っているけれど、紫苑は雪哉憎しで自分だけが正しいと思い込んでる…っていうのがとても気持ち悪くて、そして危険。
北家朝宅が襲撃されたことを、雪哉の圧政のせいなんて言っているけれど、どんな世の中でも暴力に訴えるやつはいるだろ…。
さすがにこじつけが過ぎるし、どっちかっていうと煽ってるのは紫苑ですよね??
彼女が目的を果たしたとして、山内が良くなるイメージが全くわかないんだが。
それでも雪哉に幸せになってほしい
第二部の展開があまりに不穏すぎて、雪哉もヒールに徹しているし、これはもうハッピーエンドはないな…とは、思っていました。
みんな笑顔で!なんてそもそもありえないことは「単」の時点で分かりきっていましたが…。
でも、今回、このままバッドエンドなんて絶対駄目だと思いました。
「産ませるべきではなかった」と雪正が言って、これに雪哉も同意していて、でもこれだけは、絶対、何があっても、こんな馬鹿なことを真実にしてはいけない。
雪哉の人生こんなことばっかりだ。
自分が望んだわけでもないのに、出自を理由に実の父親に疎まれて、ぼんくらを装ってへらへらして生きていたのに、ちょっとした間違いで若宮に気に入られて中央から抜け出せなくなってしまって、大切な友達ができたと思ったら理不尽に失って、大切な主はアホみたいな理由で亡くして、主からは最後の最後信頼を寄せられていなかったと分かって。
この上、何よりも大事な母と弟を亡くして。
誰よりも家族を大切に思っているのは雪哉なのに。
そんな雪哉にかけられる言葉が「生まれてくるべきではなかった」なんてふざけたことで良いはずがない。
もちろんそうですよ、今回のことは雪哉の存在のせいですよ。
でもそんなこと言ったら、そもそも雪哉を中央に送った北家前当主や、一度垂氷に戻った雪哉を連れ戻した奈月彦も戦犯だし、というか一番悪いのは襲撃者でしかないだろうよ。
凪彦は金烏代であることに音を上げたけど、雪哉は他に誰もできないからって、いまだに逃げ出さずにいるのに。
誰も褒めてくれないどころか、「産ませるべきでなかった」って、そんな、こんなのあんまりすぎる。
「生まれてくるべきでなかった」「そう思われて当然」と思ったまま雪哉に死んでほしくないんですよ、私は…。
どこかに雪哉が、今よりちょっとだけでもいいので幸せになれる筋が残されていないんだろうか…。
アホの考えが分からないことへの不安
これだけ頭の良い雪哉ですが、今回だけじゃなく何度も足元をすくわれてきています。
- 藤波に奈月彦を殺される
- 凪彦の存在
- 奈月彦の遺言で雪哉ではなく浜木綿を指名
- 残党に母と弟を殺される
やはりアホの気持ちが読み切れないというのが大きいと思います。
藤波にしても、今回の残党にしても、知能レベルが雪哉と違いすぎて、思いもよらない動きをしてしまうものと。
特に今回の残党の件については、アホが一生懸命考えた結果、狙いを外しているのに結果として博陸候への最悪の嫌がらせになっているのがなんとも皮肉。
自分が狙われても死んでも痛くも痒くもない人ですからね…。
サイコパスのあせびも何をするか分からないという点では同じなんですが、
ただ分からないのが、奈月彦と浜木綿ですね。
なぜ浜木綿は雪哉をあそこまで信用しなかったのか?
穏便に済ませて守ってもらう道を捨てて対立したのか?
プライドとか、そりが合わないとか、感情的な問題だけ?
どうして奈月彦は浜木綿を指名したのか?
自分の死後、浜木綿と雪哉が対立した状態で浜木綿を指名してもろくなことにならないと分からなかったのか…?
まさかこの2人がアホってこともなかろうし…。
そしてこの人たち、まさかもう最後まで出てこないつもりなんだろうか。
若宮の遺言、本当の本当に雪哉を信用しきれなかっただけなの?なんか最後に明らかになったりしないのか…。
最終巻も心配…
このように雪哉は何度もアホに足元をすくわれているので、紫苑が名もない田舎者や日陰者をたくさん率いているのはとても心配。
(少なくとも自分にとって)合理的な考え方をする貴族と違い、顔も知らない捨て鉢になった人間が何をするかは読み切れない面も大きいでしょう…。
その点、安原はじめは馬鹿ではないので協力の道もあるような気もするんだけど、『楽園~』で完全に敵対しちゃってるからなぁ…。
頼斗が本当に雪哉サイドなのかも怪しいと思っている。
仮に紫苑を手懐けたところで、はじめ問題が片付くわけじゃないし、そもそも山内崩壊問題はどうしようもないし、これ本当にどういうオチがつくんだろうな…。
雪哉に幸あれ、と小さな声で願うのみです。
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もう澄尾さんくらいしか言ってくれないけど、この記事では親しみを込めて「雪哉」と呼ばせていただきました。
いつまでたっても、初登場時の可愛い雪哉が忘れられんのです…。
 
  
  
  
  


 
               
               
               
              