2023年現在もっとも熱い…といっても過言ではない『世界でいちばん透きとおった物語』。
読んでみましたので感想書きます!

核心部分に触れますので注意です
感想!
正直、前評判を聞く前に読むべきだった
作者の杉井光先生は追っている作家さんなので、もちろん発売当時から『世界でいちばん透きとおった物語』はチェックしていたのですが、だいぶ経ってバズった後に読むことになってしまいました。
言い訳すると、常に積読に追われているので、基本的に新刊そんなにすぐ読む習慣がなく…。
先送りにしている間にバズってしまい今に至る。
が、これ、前情報入れずに読みたかったなぁ…!
「仕掛け」の存在を知って読んでしまった
電子化できないということで、電子だと崩れるなんらかの仕掛けがあることは想像できてしまったので、どんな仕掛けがあるのか!とそっちに期待がいってしまい。
まさかその仕掛けが常に目の前にあったとは思わず、仕掛けが分かったときは「ひぇっ」となりましたが、仕掛けが仕込んであること自体は分かっていたのでね…。
何も知らずに読んだら心臓止まるくらいびっくりしたと思うので、そうなりたかった…。
「ひぇっ」で済んでしまったのが残念で仕方ない。
「あなたもきっと騙される」系の煽りもそうなのだけど、言わない方が絶対面白いけど、言わないと適切な層に届かないというジレンマがあるよなぁ。
すごいんだけど、努力が空回りしてないのが素晴らしい
さて、その仕掛けについて語っていきますが、いや~~ほんとすごいですこれ。
割と最初の方から、章の終わりが毎回最後の行まで来るなぁとは思っていたんですよ。
でもたまにラノベでなんの意味もなくそれやることがあるので(たぶん文章削らずにページ節約するため)、あんまり何も思ってなかったのですが、タネが分かるとこれ本当にやべぇな…。
私が鈍いからかもしれないのですが、ヒントが出るまで全く気付かなかった。
だって、日本語とか文章とかストーリー展開が全くおかしくないから…。
かなりの制約があったと思うのですが、日本語がおかしい箇所とかないし、キャラ(口調)崩れもないし、そして杉井光先生の作品をよく知っている読者が読んでも、普通のいつもの杉井先生の文章。
内容も普通に面白い。
この仕掛けを思いついて実行するだけなら、ちょっとネジ外れてて根気がある人ならまあ誰でもできると思うんですけど(そんな人いない)、
普通に小説として成立させて、ネタバレまで何の違和感も持たせないというのは神業としか言えない。
本当に全く気付かなかった。
すんごい奇抜な仕掛けが仕込んであるのに、「それやりたかっただけの小説もどき」になっていないところが本当にすごくて。
仕掛けすごくてびっくりするけど、ちゃんとストーリーの方が心に残るんですよね。
バズるのも分かる。
いつもの杉井光先生だった
個人的にすごく嬉しかったのは、中身も割といつもの杉井先生だったこと。
一般層(?)にバズったことと、「きらきらした」タイトルから、もしや大衆に迎合した泣ける系の話(嫌な言い方)なのか…?と邪推してしまった私。
感動系苦手なので、それもあってちょっと敬遠してしまいました。
ところが読んでみたら内容全然キラキラしてなかった(笑)
クズな父親の足跡を追うという割と地味な内容。
最後の最後に『世界でいちばん透きとおった物語』が燈真のための小説と分かってちょっと良い話な感じになったものの、
「息子のためじゃなくて、ただ面白い仕掛けを実行してみたかったんだよ」ということに落ち着いたのがとても好みだった。
あれだけ好き勝手しといて、実は良い人とか、本当は愛していたとか言われてもねぇ…。
感動の押し付けにしていないところが本当に好き。
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この作品で杉井光先生を知った方、ぜひ『楽園ノイズ』を読んでください、なんの仕掛けもないですが熱い青春ストーリーです!!