こそっと推していた作品が「自主打ち切り」となりました。辛いです。
ということで、辛い気持ちの供養記事です。
オチや発展性はありません…。
問題の作品はこちら
経緯
2023年12月1日、作者様のXにてこんなポストが…。
【読者のみなさまへ 大事なご報告】
X@hajikano_so 2023年12月1日20:07ポスト
いつも応援ありがとうございます。初鹿野です。
突然ですが、今日はみなさまにお詫びしなければならないことがあります。
結論から言いますと、カノビジこと『彼とカノジョの事業戦略』は、現在発売中の第2巻までで「刊行を中止」させていただくことになりました。
「打ち切り」ではなく「刊行の中止」という言い方をしているのは、発行元のガガガ文庫さまより打ち切りを宣告されたわけではないからです。
つまり続きを出す気なら出していただける状況ではあるのですが、初鹿野の意向で「いったんここで刊行を止めたい」とお願いした次第です。
なぜ初鹿野がそう判断したかですが、一言で言うと「予想よりも人気や売れ行きが奮わず、今のまま続刊を出したところで物語をきちんと最後まで描き切ることは難しい」と思ったからです。
元々カノビジは、短い巻数で完結するように企画したものではありませんでした。長くシリーズとして続けるべく考えた作品で、そのための伏線も随所に散りばめています。
1巻・2巻の反響や『このラノ』の結果などを見るに、このまま刊行を続けても売れ行きが伸びる見込みは薄い状況です。だとすると続刊を出したとて、早晩、「無理やりにでも物語を終わらせる」しかなくなってしまいます。
本来あってしかるべきエピソードを削って無くし、キャラの心情や行動を著者の都合で捻じ曲げて、強制的に物語を終わらせること。それはキャラや物語に対して真摯ではない、と初鹿野は考えています。
そしてそんな形でお話を完結させてしまえば、もう二度と続きを書くこともできなくなります。
なので、「あえて未完結の状態で刊行中止とすることで、後に何らかの理由で脚光を浴び、最後まで描けるようになるかもしれない」という一縷の望みに賭けたいと思うに至りました。
「続刊できるなら出せる限り続けてほしい」「プロならどんな形であれ最後までやり切るべき」など、多々ご意見はあるかと思いますが、それらは重々承知の上で、刊行中止とさせていただきたい、というのが初鹿野の結論になります。
突然の発表に驚かれた方もいらっしゃるかと思います。ですが、何も言わずに刊行を止めることは応援くださっているみなさまにあまりにも不義理だと思い、この場を借りてご説明させていただきました。
いずれにせよ、このような事態を招いたこと、多くの方にカノビジの面白さを伝えることができなかったことは、全て初鹿野の力不足によるものです。 応援してくださった読者のみなさま、個性的かつ美麗なイラストで物語を彩ってくださったイラストレーターの夏ハルさま、本作を世に出してくださった大米さま、ガガガ文庫さまには感謝しかありません。
そしてそんなみなさまのご期待を裏切ることになってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
今後はより多くの方に届けられるような作品を作るべく、今まで以上に努力していきたいと思っています。
長文、乱文失礼しました。
2023/12/01 初鹿野創
「自主打ち切り」とまとめてしまったのですが、正確に言うと「一縷の望みをかけた一時停止」ということですね。
とはいえ、実際のところ再開の可能性はかなり低いのかなととらえました。
今の気持ちなど…
率直な気持ち
読んだ瞬間にまずショックだなというのと、やはり初鹿野先生は信じられるなというのが、一番最初に浮かんだ感想でした。
人によって感じ方はそれぞれだと思いますが、雑に終わらせたくないからここで一度刊行を止める、という決断が、私は作品にとってとても誠実だなと思いました。
そして、これを正直に発信されたのも、すごく勇気のいることだったろうなと思います。
黙っていれば「打ち切りかぁ」と思われるだけだろうに、曲解して叩かれる可能性だってあるだろうに、待っている読者のためにわざわざ…。
ラブだめからついてきた初鹿野先生のファンとしては、これからも初鹿野先生についていこうと、率直にそう思えました。
気持ちのやり場がない
一方で、カノビジの読者としては、やはりこの話を聞いて気持ちのやり場がないなと思います。
打ち切りなら出版社さんを恨めば良いですが、ガガガ文庫さんは残り1巻なのか数巻なのかは分かりませんが続刊の意志があったわけで、でも初鹿野先生に続刊の意志はなく、でもその決断自体は尊いと思って、あれ、じゃあこの感情はどこへやればいいのか…。
あ、もちろん人に当たれば良いってことではないですが。
誰も悪くない状況なので、なんというか、感情の置き場に困るなと。
売れなかったのはちょっと分かる…
ただまぁなんというか…正直、1・2巻が売れなかったのはまぁ…その…分かります。
手に取りにくいですよ、これ。
ラブだめファンなのでもちろん新作もチェックしていましたが、なかなか読む気になりませんでした。
というのも…
タイトルが悪い
まず、「事業戦略」ってサラリーマンが休日に目にしたくないワードですよね…(笑)
あんまり本棚に差したくないなぁと思ったり…。
「事業戦略(ビジネスプラン)」ですからね…「禁書目録(インデックス)」とかとはちょっと違いますよね…。
サブタイトルが悪い
1巻の「友達の売り方、教えます」、正直嫌なワードだなぁと思いました。読む前から。
これが積んでた一番の原因な気がする。
読んでみたら、確かに間違いではないけどそういう嫌らしい話でもないのに、なんでこんな微妙なワードを前に持ってきたのか…。
帯で謳うのと表紙にバーンと載せちゃうのとでは話が違うので、強めワードは販促だけにしといてほしっかったです。
絵柄がマッチしすぎている
イラストも個人的には好みな方なんですが、なんていうか「美人系」の絵柄ですよね。
シュッとして「事業戦略」にマッチしすぎちゃってて、ちょっと損してるなとは思っていました。
伊那ちゃんも本文中は丸顔って書いてあるので、面長美女ではなく、もっと可愛い感じが良かったな。
正直もっと賢い系の子だと思っていました。
天然可愛い感じが見えない…。
ここはあえて可愛い系のラノベラノベした挿絵が良かったんじゃないかなと思います、タイトルも内容もハードル高いので…。
(あとたぶん2巻のあくまちゃんもちょっときつかったかな…)
読めば面白かったんだけど…
あとは、1巻序盤の設定説明が小難しかったなと…。
正直ラブだめファンでなかったら離脱していた気がする。
ただ1巻の中盤以降は初鹿野先生全開で超楽しかったし、2巻もふつうに面白かった。
読んだ人の満足度は高かったんじゃないかと思います、手に取りにくかっただけで…。
頭脳戦ものそこまで読んでいるわけではないんですが、たとえばよう実とかも1~2巻くらいはそんなすごい面白いわけではないと思うんですよね。ふつうに面白いくらい。
やはり巻数を重ねて、モブが思わぬ活躍を見せたり、キャラ同士の繋がりや絆がきいてきたり、そういうのでシリーズとして「熱い!」となってファンがつくというか。
カノビジもそういう作品になるんだろうなと、「1巻から推してるぜ」と自慢する日が来るのだろうと漠然と思っていました。
だから、仮に出版社さんから「5巻で終わりにしましょう」「3巻までしか出せないかも」的なこと言われたとしたら、「だったら完結させない方が良い」と思われるのもすごく分かります。
後悔しても遅いですが、私を含め読んだ人がもっと布教しなければいけなかったんだろうなと。
ただ、2巻まででそこまでの信仰心を抱けていなかったのが正直なところです。
キャラ重視じゃない頭脳戦ものって、キャラ読み勢が序盤からハマるのは難しい…。
成くんも伊那ちゃんも良い子だとは思うんですが、やはりラブコメじゃないとオタクが湧く要素が…うん…。
こういう作品が救われるにはどうすればいいんですかね…(オチなし)
ガガガ文庫推せる
最後におまけなんですが、この話聞いてガガガ文庫さん推せるな!と思いました。
初鹿野先生のメッセージを読む限り、ガガガ文庫さんはぶつ切りは望まないような感じがするような。
最近「ラノベ打ち切り問題」が話題になるたびに「ガガガ文庫はそうでもないよな…?」と思っていて。
というのも、私が読んでいる限り最終巻を迎えずに続刊が出なくなっているものがなかったので。
最終巻に爆速で伏線全回収!みたいなのはあったものの、きちんと区切りを迎えていました。
今回の騒動(?)を受けて、やっぱりガガガ文庫は不誠実な打ち切りはしないんだろうな~と思いました。
打ち切りが決まってから最後にもう1巻書かせてくれるのか、「そろそろ続刊危ういのでこのへんで最終巻にしときましょう」とか言ってくれるのか…。
(そういう誠実で腕の良い編集さんの作品ばかり当たっているだけかもしれないですが)
続刊決まってもないのに次巻への引きを残す某レーベルさんより安心して読めるなぁと思いました。
みなさん、ガガガ文庫を読みましょう。
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
カノビジ再開の日が来るのを願っております。