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【ネタバレ感想】浅倉秋成『ノワール・レヴナント』少年少女の冒険劇が熱い!

【ネタバレ感想】『ノワール・レヴナント』 一般文芸
一般文芸
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浅倉秋成先生のデビュー作『ノワール・レヴナント』を読みました。
きな臭いストーリーが背景にありながら、少年少女たちの活躍が青春ものとしてストレートに面白い良作!
楽しかったので記録します!

えしゃ
えしゃ

ネタバレ注意です~~~

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感想!

面白くて一気読み!

初めて手に取ったときは、あまりの重量に慄きました。
(読書オタクですが鈍器本にたぎるタイプではないので…)

こんなの読めるかなあ?と思いつつ読み始めたら、最初からまあ面白いこと!

表紙とあらすじのちぐはぐさにドキドキしていたのですが、なんと最初はラブコメ的に始まってびっくり。
弥生ちゃんの「85」の仕掛けはぶっちゃけ秒で看破できたので(だてにラブコメ好きではない)、なんだこれ!さわやかピュアラブコメか!?とニヤニヤしました。ほんとこういうの好き。

とはいえ、表紙がアレなので、そこから恐怖と絶望の底に叩き落されることも覚悟していたのですが、結局最後までそうはなりませんでした。
浅倉先生やはり推せる。

途中暗い真相が出てきたり、黒澤父のことも全く理解できませんし許せませんが、全体としては高校生たちの無茶苦茶な冒険!てな感じでとても楽しく読めました。

レゾン電子に侵入したり、やばいカジノに潜入したり、工場に忍び込んだりと、手に汗握る冒険も熱かったし、とにかくこの4人が好きだなって。

みんな良い子で、それなりに穏やかで優しくて、特にもめることもなく、お互いを気遣いながら走り切ったのが印象的でした。
もめさせずに盛り上げるのって難しいんだよな。これでデビュー作ってすごい。

とまあ、とにかく好みの話だったので途中で止まることなく一気読みでした~~!

大須賀を主役に据える読後感の良さ

そしてなんといっても、浅倉先生は読後感が良い!

今回は、なんとなく頼りがいのないけど、意外と芯のある大須賀くんを主役に据えたのが上手いな~~と。

序盤のラブコメ展開で超ときめかせてくれた弥生ちゃんが以降ほぼ全く出てこず、「ラブコメはどうなったんだ…?」「エピローグでさくっと回収されたら許さん…」とやきもきしていたら、「妹」で繋がった!

ラストの弥生ちゃんの事情の吹っ飛ばしが唐突感なく、今までの話と地続きに感じられ、納得のハッピーエンドでした…!
大須賀くんが、主人公としてしっかりいいとこ持ってってくれましたね。

弥生ちゃん、出番は少なかったけどとても存在感のある子でした。
ふたりとも幸せになってくれ~~。

江崎・葵の始まらない恋が尊い…

そしてラブコメ好きとしてとにかくぐっときたのが、ラストの江崎・葵…!

葵ちゃんの事情を真摯に受け止める江崎推せるなぁとは思っていましたが、2人とも硬派なのでノーマークでした。

借りたハンカチに手紙を仕込む江崎の粋な行動!からのストレートで心温まるメッセージ、というかエール!
そして受け取った葵ちゃんが「恋をしないと決めたから」と言うのが切なくてもう。

なんて心がきれいな2人なんだ。

復活した葵ちゃんのコンサートを江崎が訪れるところまで見えましたよ私は…。

かなり残酷な話だったが…

というわけでとても好みの作品でしたが、モチーフがきな臭すぎましたね…。

正直、最初に飴玉が出てきたときは、メッセージの書き方的に「できちゃう」方の薬だと思ったんですよ。
お隣のご夫婦もそれでもめてるっぽかったし…。
それはそれでお節介な話でどうなんとは思っていましたが…。

それが、まさか、うーーーん。
全く肯定できないのはもちろん、あまりに残酷な話で、今でもちょっと消化不良です。
考え始めると気が滅入るので、ちょっと深く考えるのを避けている自分がいます。

論理が、あまりにも意味不明すぎて。気持ち悪くて。
でも、この人は本気で筋が通ってると思ってるんだな…っていうのは伝わってきて。
頭おかしい人のことがすごくよく書けてるな…、なんて現実逃避気味に考えながら読んでました。

教訓としては、人からもらったものは安易に口に入れてはいけない、ですね…

4人のメンバーがそれぞれとても好き

さて、最後まで読んで振り返ってみると、やはり4人の高校生がとてもバランスが良く、好感の持てる子たちでした。

冷静な江崎、突っ走り気味ののん、やさしくみんなをまとめる葵、気弱系主人公の大須賀。
みんなの持つ「普通じゃない能力」から、それぞれの役割が明確なのも熱く、間を埋める暇人大須賀も良い働きしてた!

そしてなんといってものんのパワーがとても良い。

やばいチケットに誘われてのこのこやってきてしまったみんなにかなりハラハラしていたのですが、「本がない!」「同志じゃない!」にはさすがに笑いました。

終始むちゃくちゃに突っ走りながら、サッちゃんの件で見せた繊細なところにキュン…。
友達のために奮起する姿も立派だった!

暗くなりそうな話を明るく強引に引っ張ってくれて、とても好きなキャラでした。

そして、誰一人としておまけで参加させられた人がなく、4人それぞれに参加理由があり、得るものがある内容だったのもすごく良いなと。
この事件をきっかけに4人の人生が確実に良い方向に向かうだろうな、ということが感じられて最高でした。

寄せ集めメンバーだけど、しっかり息があっているところもとても好きで、とにかくストレートに面白い青春小説でした!

おわりに

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
『ノワール・レヴナント』、浅倉秋成先生の初期の傑作だと思うので、これからたくさん布教したいなと思います。
てか傑作しかないんだよな浅倉先生。

プロフィール
えしゃ

えしゃ(@shallot0147)と申します!
・ラブコメ好き。少女漫画とラノベが大好きです!
・雑食&乱読
・好きなジャンル:ラブコメ、広義のミステリー、ローファンタジーなどなど
・愛読書:辻村深月『名前探しの放課後』
・推しキャラ:佐藤こはる(塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い)

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