ひろちひろ先生の『ふたりで恋をする理由』にドはまりしました!なネタバレ感想です。
未読の方はご注意ください~
感想!
まず率直な感想としては、こんなに好きになるとは思わなかった。です。
まさかコミックス買い集めることになるとは夢にも思わなかったよ…。
序盤、愛慈先輩退場までは、よくある何がしたいのかよく分かんない少女漫画だと思っていました。
漫画アプリでダラダラ読んでいたので読み進められましたが、いつ切るかな~と考えながら読んでいた感じ。
買って読んでたなら3巻あたりで諦めてる(笑)
それが何をどうしてこんなに好きになったのか!?
自分でもびっくりなのですが、そのあたりを書いていきたいと思います。
愛慈先輩退場以降がまっじで面白い
申し訳ないけど、愛慈先輩退場までは、本当に何がしたいのかよく分かんないんですよ…。
うららちゃんいい子なのに、愛慈先輩から都合のいい女扱いされててムカつくし、美園くんも怖すぎだし…(笑)
読者の好感度ゼロの状態の愛慈先輩に告白してボロボロに傷つくのも、「いや、あんな男のことなんでまだ好きなの…?」としか思えず、全然感情移入できないんですよね。
また、有坂さんの人間的魅力が全く感じられず、うららちゃんが選ばれない理由が全然分からない…(だって相手は天使だよ?)
そして愛慈先輩のことが一区切りとなり、これでようやく美園くんルートになるんだな…と思っていたら、まさかのオビくん登場!
普通の少女漫画だったら、ここでぶっきらぼうだけどいつもそばにいてくれる美園くんに行って終わりじゃないですか…ここで三角関係のメンバーを一新させるというのが斬新すぎて痺れました。
また、うららちゃんの価値が分かる男がようやく現れ、うららちゃんを取り合う展開になるのも、読者としてはかなり納得のいく流れ。
だって
顔良し性格良しのうららちゃんがモテないとか間違ってるから…!
このへんで「暇つぶしに読む漫画」から「続きが楽しみな漫画」に変わりました。
序盤の意味わからない展開の真相は
ちなみに、愛慈先輩編の意味不明具合については、最終巻のあとがきを読んで理解しました。
なんか最初の担当さんと全く嚙み合ってなかったっぽいですね…。
コミカルに描いてるけど、中身はかなりストレートに批判なので「おおお」となりました。
(フォローとか感謝の言葉が一切ないのもロックで好き。笑)
先生ご自身も描いてて納得いかない辛いだけの展開じゃあ、読者もついていけないよなぁ。
実際、途中で好きな人が変わる系なら、最初の好きな人は1巻でケリをつけるのが定石だし…。
苦手領域にチャレンジが必要なのは分かるけど、先生の良さを潰してしまったら意味ないし、成長のための捨て作!みたいな考えだったのなら、お金出して読んでる読者に不誠実だよなぁ…と思うし。
途中で合う担当さんに変わり、オビくん登場となった…というようなお話で、序盤の意味不明さと、そこからの斬新な方向転換にものすごく納得がいきました。
愛慈先輩編は別物ととらえた方が幸せそうですね。
(余談ですが、『月刊少女野崎くん』を読んでから、担当さん関係の裏話全部恨み節に見えてならない。笑)
全12巻で全くダレずに走り切っているのがすごい
さて、そんな感じで真のふた恋・オビちゃん編がスタートするわけですが…
ここからが全くダレない。
オビくんも最初から全力疾走だし、本気出した美園くんも強いし、うららちゃんもしっかり2人の熱量に合わせて悩んだり苦しんだり、とにかく飽きさせない。
後半7巻が体感5巻分くらいの感じで、全然飽きさせないんですよ。
恋愛のみ作品で10巻超えると、途中迷走したり、付き合ってからつまんなくなったりもするものですが、「ふた恋」は最後まで怒涛の展開ですんごく面白い…!
美園・オビがとても良い
「ふた恋」で一番いいなと思うのが、オビくんと美園くんのバチバチ。
途中合流するオビくんが、物語にスパイスを出すための都合のいい当て馬ではなく、本当の意味でのライバルという感じで、最高…!
2人の本気度が他の作品とは全然違って、胸がきゅっとなりました。
2人からは、「あいつに取られたくない」「俺のものにしたい」っていう対抗心みたいなものよりも、もし自分がうららちゃんのそばにいられなくなったら…という恐怖心をすごく感じて。
そこがふつうの少女漫画と違って、2人とも想いをストレートにうららちゃんにぶつけるとことがすごくいいなって思います。
(ふつうはライバルにぶつけてしまう。想いの強さで勝とうとする…みたいになりがち)
負け確の当て馬だと、ひっかきまわしたり背中を推したりするのが主な役割なんですけど、オビくんはオビくんでちゃんとうららちゃんと向き合っているのがね…切ないけどね…良いです。
バレンタインの対比がものすごく好き…!
うららちゃんの気持ちがはっきりしないまま迎えたバレンタイン。
ここすごく良かったですね。
ストレートに「欲しい」というオビくんが個人的にはすごく好みで、美園くんは今回空気か…!?と思いきや。
まさかの、「もらう」ではなく「渡す」だったーーー!!
これは本当にやばい。
チョコ欲しいと伝えるオビくん、チョコ渡す美園くんの対比がめちゃくちゃ上手い。
これは好きになるよ~~~!
どっちが正解とかじゃないけど、うららちゃんにはしっかり刺さってくれました。おめでとう。
オビくんは終盤にかけては、もう届かないというのは察していたのかな。
将棋で言うところの、勝つ方は最後まで読み違えないように気を張っているからボロボロ、負ける方は途中から気持ち整えるからシャンとしてる、みたいなのを決着がついたときの2人からは感じました。
自分の気持ちに素直であり続けたうららちゃん。好き。
そして、その2人に対して常に誠実であり続けたうららちゃん。素晴らしい。
私はも~~~うららちゃんが可愛くて可愛くて仕方ないのですが、最後まで流されずに自分の気持ちに素直であり続けたのがすごく良いなって思うんです。
頭で考えたら、美園くんもオビくんもどっちも優良物件なので、普通にどっちか選ぶと思うんですけど、「同じ気持ちを返さないといけない」と重くとらえるうららちゃん…不器用かわいい。
美園くんへの気持ちを自覚して、先にオビくんに筋を通すところもすごく好きだし、せっかく好きだと自覚したのに美園くんのために想いを告げない頑固なところも好きです。
まさかの両片思いパートが来ると思わなかったので、NY問題のときはここでこじれるのか!?とハラハラしました。
ホワイトデーで「ただのお返しだって分かってる」と告げる美園くんが切なくてかわいそうで、胃を痛めました…笑
そして、ここまでずっと重めの想いをぶつけられているのに、最後はうららちゃんの「返事」ではなく、ちゃんと「告白」になっているのも本当に最高すぎる…
とはいえ、美園親にはちょっとモヤっとする
これでハッピーエンドで全然いいんですけど、そして漫画としては美園くんが一歩踏み出すという展開が大切なのも分かるのですが、やはり美園くんの親御さんにはちょっとモヤモヤが残りますね…。
うららちゃんの親御さんへの懸念、(確かにNYに行かせたくないという気持ちもあるとは思うけど、)個人的にはほぼほぼ正解だと思っていて。
高校生の息子にNYに来いとか無理あるし、その割にじゃあ進路どうするとか、高校はこういう選択肢があるとか、そういうのを提示せずに(裏で話してたのかもしれないけど)丸投げな感じがすごく嫌。
また、「純が決めて」っていうのも、やさしさというよりは責任の押し付けって感じがします。
ここで美園くんが「俺は日本に残る」と言ったら、美園くん抜きで家族3人でNYで暮らしていたのか?(お父さんは美園くんが心配で近くに越してきたんじゃないの?)
そして、美園くんが欲しかった温かい家庭を、2人目にだけあげるのか?
親御さんはそれでよかったの?むしろ2人はどうしたいの??
また、美園くんの性格上、「自分がお母さんの仕事を奪ってしまった」というのは後々まで絶対気に病むと思うんです。
ここは、親御さんの方から「日本で4人で暮らそう」と言ってあげてほしかった。
うららちゃんの気遣いを真に受けて美園くんがNYに行ってしまっていたら、両想いだった2人の恋が終わっていたかもというのも個人的にかなり悪印象で、ちょっと辛辣です(笑)
付き合ってからも尊い…
最後の最後でようやくくっついた2人ですが、正直付き合ってどんな感じになるんだろ…?と思っていたのですが、私好みのピュアカップルに落ち着いてくれてホッとしました。
(最後に一線を越えなかったのめちゃくちゃ推せる。)
「俺って安堂の彼氏?」と聞く美園くんのピュアさ…!
初デートでの彼氏感…!尊すぎてもう直視できない。
不慣れなクレーンゲームに撃沈する美園くん、まぁまぁかっこ悪いんですけど(笑)、そこから自己嫌悪の展開ではなく、うららちゃんがウッキウキでぬいぐるみ取りに行くのもふた恋らしくて好き!!
また、「自分を選んでくれた」という認識の美園くんに対し、「そういうことじゃない」とはっきり伝えるうららちゃんも良い。
これまでのモヤモヤが吹っ飛ぶ尊さ。
てかなんでこんな2人とも顔も性格も良いの??
(おまけ)愛慈先輩については一応理解できました
退場したままもう出てこなくていいよと思っていた愛慈先輩ですが(笑)、最後の最後で再登場したときはほんとなんなの??と思いました。
しかし、うららちゃんのこと好きになりたかった~という発言で、すべてに納得がいったというか。
ピュアで天使なうららちゃんを振り回したのは許せませんが、確かにうまくいかない好きな人とは真逆のタイプ。
「こういう子と恋をしたら楽しいのかも」「忘れられるのかも」と思うのもまぁ分かるなと。
先輩は先輩で必死で、ちゃんとうららちゃんと向き合おうとはしてたんだな、と思いました。
あと、美園くんもなんで愛慈先輩なんかに執着してたの??くらいに中盤以降思ってたけど、そのへんも割と納得のいく説明で、ひろ先生誠実だなーと思いました。
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
長くなりすぎるので本文で触れませんでしたが、ひろ先生の絵柄が好きすぎる…。
特に扉絵が捨て回なしで全部おしゃれで可愛くて、何事かと思いました。