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【ネタバレ感想】辻村深月『名前探しの放課後』が大好きすぎて辛い

【ネタバレ感想】『名前探しの放課後』 一般文芸
一般文芸
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新年ということで(?)、大好きな『名前探しの放課後』n十回目の再読を終えました。
本当に本当に大好きすぎて何十周もしているので、もはやセリフを暗記するレベルですが、それでも何回読んでも楽しい!!

せっかくブログを始めたので、感想を残していきたいと思います!

えしゃ
えしゃ

根幹部分に触れていますので、未読の方はご注意ください!

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感想!

やっぱり最高に大好き…!

何度読んでも思うのですが、『名前探しの放課後』って最高すぎません?

何回読んでも飽きないし、むしろ毎回違った発見があったりして、こんなに何回も楽しめて良いんですか??って感じ。
こんな素晴らしい作品を世に送り出してくださった辻村深月先生には、感謝しかありません。

いつかとあすなの関係が尊すぎる

初めに宣言してしまうと、私は少女漫画大好きな、生粋のラブコメ脳の人間です。
というわけで、『名前探しの放課後』も恋!キュン!!!みたいな感じで読んでいるのですが、やっぱりなんといっても、いつかとあすなの関係変化が良すぎる!!

最初あすなが壁作りすぎてて、めちゃくちゃ遠い関係じゃないですか。
教室ではあんまり話したくない、みたいな。

それがね~~だんだん「親しい間柄のひと」になっていくのがね~~!毎回最高なんです!!!

いつかが関係の変化に気付くのは、水泳の件が終わってクリスマスの準備を始めたころ。
帰り道で普通に横を歩けていることに改めて気付き、しみじみ感じています。

個人的にはその前、あすなが、泳いでいるところをいつかが見てくれていると安心する、と思っているところがキュンポイント。
あすなの中でそういう位置づけの人になってて、それ、自分をごまかしたりしないでちゃんと認められるんだな~~って思うと、毎回ときめきが止まりません。

いつかがほんとは良いやつ!好き!!

いつかってイケメンでモテモテで、ちょっとひねくれてるし、露悪的だし、最初はちょっといけ好かないじゃないですか…
でも本当は結構素朴で良いやつじゃないですか??

いつかってたぶん、周りが自分を評価したりチヤホヤするのって、結局顔でしかないと思っていて、それでひねくれているんだと思うんです。

でも、あの本当は良い子だった絢乃ちゃんと半年も付き合ってて、振った後も執着されるのって、いつかがちゃんと優しくて、人間的魅力があったからだと思うんですよね。
そういうところに人が集まるんじゃないかなと思うんですが…

本当にカースト上位の人間は、下とか上とかあんまり気にしてないって言いますけど、ほんとそれで。
あすなや河野のこと、自分にはよく分からないインドアなやつとは思っていますが、下に見るような発言はないですよね。
あすなも割と最初の方から、「思ってたより話しやすい」と言ってるし、そういうところなのかな~と。

いつか、自己肯定感が高いのとも少し違いますが、何かによって自分の価値が揺らぐことはないと思っているんでしょう。
そのへん無頓着な「強者」感も良い。生まれながらに一軍。

一方で、ハイソなお家にコンプレックスがあったり、変なところでピュアで真っ当というか、そんなところもすごく人として魅力的だな~と思います。

個人的に好きなのは、名前を馬鹿にされたことがあると言ったあすなに対し、普通の調子で「アニメのキャラみたいだからってこと?」と聞き返しちゃう感じ。
あーーーなんか、本当に強者だから、人を下げて自分を上げようとしたことがないんだな、だからそういう感覚、よく分かんないんだなって。

うん。良い。やっぱり。

やはり「あすなだから」できたことだと思う

さて、この一大事業の動機として、いつかは「罪悪感に苛まれたくないから」と言っています。
これも確かに一理あるのですが、やはりすべて終わって振り返ると、「あすなだったから」というのが大きいのではないかと…

ほかの人、どうでもいい人だったら、とりあえず頑張ったよという実績だけ作って自分に言い訳できればいいわけで。
自分のお金つぎ込んだり、なりふり構わず助けを求めたりまでしなくていいと思うんです。

やっぱり大切に思っている人だから頑張れたんだろうなぁ。きゅん…

いつか、「想像力は豊か」な方では?

自分では「頭悪い」と言ってはばかりませんし、親友の秀人からも「想像力が貧困」と言われているいつかですが、個人的には想像力は割と豊かな方だと思います。
「罪悪感に苛まれたくない」がそれで、本当に想像力のない人、何も考えていない人はそんなこと思いつきません。

他にも、河野がいじめられるようになったきっかけ(作り話だけど)を聞いたとき、普通にそのシーンを思い浮かべたり、あとは「秘密の花園」を見ながら、そこに「グリルさか咲」を当てはめてみたり。
周りにはいまいち伝わってないと思いますが、結構いろいろ考えている方だと思います。

ただし、独創性はゼロ。そういう意味では「貧困」ですね。

あすながおじいちゃんと2人暮らしと聞いて、祖父→高齢→そのうち死ぬ→悲しみに暮れた孫娘が自殺する、と連想したり。
なんというか、いつかが創造した3ヶ月分の「記憶」って、かなり細部まで考えられてはいましたが、全部どこかで聞いたことがあるような話。テレビのつぎはぎという感じ。

…とまぁ、独創性はありませんが、人の気持ちはちゃんと考えられる子だと思います。

秀人から「本当に気になっている子が死んだら」の仮定を聞いた時、普通に「事故で死ぬ」と想定してもいいようなもの。
それなのに祖父の死と結びつけたのは、きっと前から「そうなったときにあすなはどうなるんだろう」と気にしていたからだと思います。
(いつかは素直じゃないので、自分のそういう感情を「野次馬根性」などと言ってしまうのでしょうが)

こういう外から見た姿と、中身が良い意味で一致してないところが良いです。

えしゃ
えしゃ

そもそも、中3まで部活漬けで、突然進路変更して都会の進学校に合格しちゃうような器用な子が「頭悪い」わけない。

河野の演技力すごすぎ(笑)

毎回思うんですが、本当に河野だけ重労働ですよね(笑)
素で芝居ががった子だからなんとかなっているんでしょうが、にしても演技力やばすぎでは。

細かいセリフは決めずにアドリブっていう感じだったのかなぁ。
最後まであすなを騙しきったのが本当にすごい。

友春が走り出す瞬間が泣ける!!

1周目のとき、クリスマスパーティーでかなり大団円ぽいというか、話としてオチがついた感じではあったので、やたらページ数が残っていて不思議に思いながら読んでいたのを覚えています。
(勘の鈍い読者なので、各種伏線はスルー。笑)

そこからの始業式の怒涛の展開がね!!いやほんとすごいですよね。
1周目のときは「誰が死ぬの?」「坂崎あすな」のところまで、まじで意味分かんないというか、分かるけど分かりたくないというか、は?え、え、は???みたいな感じで、脳がパンクしそうでした(笑)

そこのシーンで毎回涙が込み上げてくるポイントがあって。比喩ではなく本当に。
それは、友春がバイクに向かって走り出し、そして、河野がそれを追いかけて出てくるところ。
河野が抱えたノートに書かれた「小瀬友春」の文字を見て、「ついに来たーー!!」と、なんかここでいっつも泣いてしまいます。

おじいちゃんが死なないのが素晴らしい!!

ラスト、あんだけ盛り上がっといておじいちゃん死なないんかーいという感じではありますが(笑)、誰かを死なせて盛り上げる感動系の話が苦手な私にとっては最高の展開です。

この展開で安直に死なせないのってかなり勇気がいると思うのですが、辻村深月先生すごいなって思います。
おじいちゃんが無事だったからこそ、あの穏やかで幸福なラストにつながったわけで。
何回読んでも「天才…」と思います。

「ぼくメジャ」匂わせがしつっっこいんじゃー!

というわけで私は『名前探しの放課後』を心から愛していますが、一点本当に気に入らないのは、「ぼくメジャ」「くじら」メンバーの大集合。

というのも、辻村作品に限らず、明確に「続編」「シリーズ」と銘打ってない作品の、他作品キャラ友情出演が大の苦手でして…
その作品の脇役として、普通に説明があって普通に出てくるなら特に気にならないんですが、他作品の匂わせをするのはマナー違反というか。
特に、「〇〇」を先に読んでから「△△」を読まないと理解できない!みたいなのは大嫌いです。

だって布教しにくいじゃないですか。

『名前探しの放課後』はこんなに素晴らしいのに、今すぐ読んでほしいのに、先に「ぼくメジャ」を読まないといけないなんてまどろっこしすぎる。
大体、それならきちんと「シリーズものである」と言ってくれればいいんです。
下調べをしないと置いていかれるなんて、なんか、読書ってそういうことじゃなくない…?というか。

『名前探しの放課後』の感想を調べると「後から「ぼくメジャ」を先に読まないといけないと知った」という声が少なくなくて、『名前探しの放課後』ガチ勢として本当に悲しいし悔しい。

だって、別に「ぼくメジャ」読まなくても『名前探しの放課後』楽しめますもん…
これが本当にほぼ続編並みに関連性が高いなら仕方ないですが、各種匂わせがなければ、別に未読の人でも気にならないレベルだとと思うんですよ…

あの秀人の独白、必要だったのかな?秀人と友春の呼び名変遷は?椿ちゃんが「ふみちゃん」だと引っ張りに引っ張った末、『名前探しの放課後』のラストで明かす必要は…?
いつかもあすなもすっごく頑張ったのに、なんだか全部「ぼくメジャ」に持っていかれている感じがして悲しくて仕方ないです。

『名前探しの放課後』は初期辻村作品の集大成なんて言われてますけど、そういうのは作品の力で示せばいいのであって、お気に入りキャラを全員集合!!っていう場として使うのは、違うじゃないですか…

えしゃ
えしゃ

「チヨダ・コーキ」みたいに、本当にただぽんと、名前だけ出してくれるだけでもファンは大喜びだと思うんです。ファンサが過剰なんですよね…

(2023.2.25追記) そんなこじらせオタクの私が「ぼくメジャ」を10年ぶりに再読して、ちょっと良いなと思ってしまった話はこちらです(笑)

友春は志緒のことをどう思っているのか

この部分長かったので別記事にしました~。
作中で全く語られていないけど気になっている、友春と志緒の関係について。

いつかとあすなのこれから

さて、晴れて名前呼びをするようになったいつかとあすななわけですが、その先はもちろん両想いになって、お互いを大切にする素敵なカップルになってほしいなぁと思っています。

もし2人が付き合い始めたら、きっといつかはあすなのことめちゃくちゃ自慢にして、ちょっと廊下ですれ違っただけでもはしゃいで話しかけてそう(笑)
幸せになれよ~~!

おわりに

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
世界中に『名前探しの放課後』ファンが増えますように!!!

プロフィール
えしゃ

えしゃ(@shallot0147)と申します!
・ラブコメ好き。少女漫画とラノベが大好きです!
・雑食&乱読
・好きなジャンル:ラブコメ、広義のミステリー、ローファンタジーなどなど
・愛読書:辻村深月『名前探しの放課後』
・推しキャラ:佐藤こはる(塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い)

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