名作お笑いバトル漫画『ショーハショーテン!』が完結しましたね…。
改めて周回していたら最高すぎたので、全コンビについて語ります。

最終11巻までのネタバレを含みます
全コンビについて語ります
いわしつよしが愛おしい
まずは、たびたび言ってますが私はいわしつよしが大好き…。
エピソードも強かったし、何よりネタが好みだった。
アクが強くてストレートな望月くんも、望月くんの暴走を止めない阿多古くんもめちゃくちゃ良い!
大好きな先輩がいて、同じ熱量で敵討ちに燃えられる相方がいる高校生活、最高すぎるでしょ。
最後に絶サンをちょっと倒してるの泣けた~~~。
執念の勝利ですね!
2人がいったん解散して、やっぱりまた漫才やりたくなってるのもすごくぽくていいなって思います。(留年続きも解釈一致…笑)
焼き芋先輩がきっかけだけど、純粋にお笑い好きになってるのいいなぁ。
2人のオリジナルの漫才、どんなクセ強ネタなのか気になります(笑)
天然で健全なきらめき製菓
そして、ゲストキャラくらいの扱いですが、とにかく印象の強かったきらめき製菓。
この作品の軸となる「笑いの繊細さ」を強烈に示してくれたコンビでした…。
ネタだと不仲風の漫才してたけど、素はお互い信頼し合っている同志なんだろうな~って感じる空気感が割と好き。
ボランティア(?)で関東から大阪まで子ども引率って、2人ともなかなか志高いよな…。
牛丼のネタを見て、にっこにこで「漫才っぽくなかったよね!」って言える天然っぷりが好き。
激しいバトルの中で癒しをありがとう…!
結局なんだったのか…神風昇竜魚
概ね何の心残りもないのですが、唯一最後まで分からなかったのが、昇竜魚の扱いの悪さ。
彼らが何をしたっていうんだ…笑
決勝出場者の中で唯一回想エピソードなし、ネタは最初と最後だけ抜粋。
あっさり負けた後は出番ないかと思いきや、シュプレのフリで「2年前と同じやな…」などと分かった風のことを言って全員に否定されるなど、見せ場がなかった上に良いところもなかった…。
作中の扱いの悪さはともかく、彼らについて言うと、ネタもあんまり良くなかったんじゃないかなって。
ぬぼーっとしたボケの子のことを「困っちゃうんですよね~」って下げて笑いをとるのは、なんというかとても令和的でなかったのではないかと。
じゃあ潤くんの「そのへんで止まっとけタコ」はいいのか?っていうと…いやもう文脈でしかないんですけどね…。
ネタも抜粋しか見てないので分からないけど、相方への敬意や愛が感じられなかったなぁというのが、個人的にはあまり好きでないポイントです。
ある意味、「自分たち以外」をボコす絶サンのネタよりもウケが悪かったかもしれない。
昇竜魚以外はみんなぞれぞれ形は違えどコンビの絆が感じられたので。絶サンやライジンすら。
これで「例年ならTOP3狙えるネタ」はさすがに盛りすぎだと思うんだけど、誰にも賛同してもらえないどころか、いじってすらもらえてないのは可哀想すぎる…。
最終話にも全く登場せず、11巻巻末でも取り上げてもらえなかったのはさすがにちょっと…昇竜魚ファンがいたら泣いてると思う(笑)
牛丼の笑-1決勝候補リストにも見つけられないんだけど、順当に解散したのかな…決勝出てないパスカル800より扱いが悪いぞ…なんでだ…。
理想的な青春をゆく特盛り牛丼大盛り
今回最終巻に備えて再読していて、予想外に刺さったのが牛丼!
それまでスルーしていたので自分でもびっくりしました。
特に辛いことや成し遂げたいことがあったわけではない…っていう箸休め的なエピソードは元々良いなとは思ってたんですが、にしてもこの3人組の青春良すぎない??
高校生がグリコを楽しむな!最高か!!
気の合う友だちと楽しみ倒す高校生活、全人類の理想すぎるでしょ。
そのままYoutuberになってるのも解釈一致で良き。
読み返すと沁みる柴犬世界一周
同じく、初回はスルーしたけどじわじわきてるのが柴犬。
初回は正直、こんなに全コンビ回想するのはくどいのでは…などと思ってました…ごめんなさい。
柴犬の回想で2か所好きなところがありまして。
1つ目は、実籾くんが「終盤で裏切りそう」と言われがちという、腹黒見えコンプレックスを吐露するところ。
確かに漫画とかで出てきたらとりあえず警戒するタイプなんだよな…ごめんね。
その定石を外して、本当にただのガチで善人、という流れがもう最高に浅倉作品だなぁと。
2つ目は、小埜塚くんがコンビ結成を持ちかけるときに、めちゃくちゃ饒舌にしゃべるところ。
しゃべるのが苦手な脳筋の印象が強いですが、ほんとはめちゃくちゃ考えられる人じゃんって。
実籾くんがご飯食べてないの黙ってたりとか、ひっそり自分を犠牲にしているのちゃんと気付いて、そして自分の今後のこともちゃんと考えて。
そして、大事な局面で最適解を出してすぐに決断できるのは、やはり瞬間の判断に優れた一流のスポーツマンだなぁと思います。
惚れた…。
2人の、親友ではないけど唯一無二!っていう感じの関係性がすごく好きです。
不器用すぎたせりぬんてぃうす
そしてせりぬんは…なんというかもう、泥谷が悪い、すべて悪いんですけど、ちょっと神様意地悪すぎやしないか~~~。
雨の中倒れた友だちを捨てていくのはさすがに駄目なんですが、まあ高校生男子…素直になれないのもとっさに正しい行動できないのも、まあ分かるよ…。
意地を張り続けた泥谷が悪いんだけど、未熟な高校生に挽回の機会が与えられないというのはあまりに残酷だった。
もし朔があそこで亡くなってなければ…せめてラストライブまで生きていれば…「再結成しよう」って言えてたのかな…うーん。
ただ、コンビ組む予定になっている太陽を差し置いて、「お前とコンビ再結成する」とか「生涯の相方」とかは、ちょっと太陽可哀想かなという気もしなくはない。
泥谷とのネタ合わせが楽しくて、やっぱり泥谷しかいないと思ったなら、それを2人に直接伝えれば良かったんですよ。
手紙で言い逃げはずるいぞ。
泥谷だってちゃんとお別れしたかったろうに。
コンビ愛が光ったぶるーたす
一方で、泥谷が次に組んだ新田はめちゃくちゃ良かった。とにかく良かった。
あえてこの言葉を使いますが、ぶるーたすのコンビ愛が一番好き。
最愛の相方の代替品、ではなく、ちゃんと相棒で相方なのが良い。
決めるべきタイミングでしっかり決断できる人間がめちゃくちゃかっこいいと思っていて、
先に書いた小埜塚くんもそうなんですが、新田もめちゃくちゃかっこよかった…!
最初から全部知った上で、転校生の心こじ開けに行くの最高すぎか。
泥谷の気持ちに寄り添い続けて、ヒールムーブも、一転して実力でねじ伏せる宣言も全部「かっこいい」で済ませてるの器でかすぎ。
こういう子がそばにいれば、泥谷ももう間違えることはないだろうなと思います。
新田ありがとう…!
新田に関しては、お笑い用語に馴染んでないのか、コンビのことグループって言ってるの地味に結構好き(笑)
互いをよく見ているライジン
そして、決めるべきときに決断した、で言うと、何より熱かったのはやっぱり伴ですね…!
友だちとの馴れ合いに逃げずに本当に必要な人のところへ向かえる、ってというのは、本当になかなかできることではないと思います。
立派だった。そして、その場で契約金を掴んだ針金も立派だった。
このコンビについては、仲悪いは仲悪いわけですが、実は結構お互いのことをしっかり見ているのが好き。
針金のボケに伴だけは気付いていたりとか、伴が天片意識しているのに針金が気付いたりとか。
仲良しこよしじゃないけど互いを認め合っているのが、なんとも少年漫画で良い。
しかしこの2人、どんな感じでネタ合わせしてんだろうな…笑
また、伴に関しては生意気失礼発言に目がいきがちですが、意外と視野が広くて、大事なときに間違えていないんですよね~。
絶サン憎しで燃え上がっている控室で「優勝した大会に出てるんだからやりたいことあるんだろ?」って冷静に言っていたのが、個人的には特に印象的でした。
実際やらねばならないことがあったから勝ち逃げしなかったわけで、よく見てるなぁと。
また、態度が酷すぎるせいで印象悪いけど、最初に天片に優勝を譲ったのもほんとに「いいこと」してたので、みんなもう少し褒めてあげてほしいです(笑)
ヒール崩れの絶唱サンドバック
これね…すごい書くのが難しいんですが、絶唱サンドバック…。
やっぱりいわしつよし大好きだし、絶サンが焼き芋先輩にしたことは絶対忘れてはいけないと思うんです。
変わらず憎い存在ではあるのですが、やっぱり10巻以前と10巻後では印象が全然違いますよね…。
悔しいけど認めます…1ミリくらい愛着がわいてしまった…。
少なくとも、周囲から見えているような「コンプレックスなんか一つもないいじめっ子」ではなかった。
泥谷みたいにすべてを許して受け入れたくはないんですよ、やったこと的に。
絶対絶対許さねぇ…!と心に固い壁を築いて絶サン回を迎えたわけです。
だから、ここで露骨に「本当は良い人!」の流れになったらげんなりしたと思うんですが、
読者に絶サンを許すことも受け入れることも強要せず、ただ彼らにも大義があったということを示したのが…なんかもう本当に浅倉先生やってくれるぜ…好き…。
だからこそ却って心の隙間にすっと入ってきたというか…なんかまあ、こいつらもいろいろ大変だったんだな…とは思えちゃいました。
大神田、別にそんなことする必要ないのに高校3年間漫才に費やして、実際のところかなりこじらせてるよなぁ…。
まあなんか、いろいろ反省してもらって、今後は真っ当に生きて明るく幸せになってくれると良いな、とは思います。
反省はしろよ…。
まさかの回収が熱かった紙ヒコーキ
そして、個人的に6年後で一番熱かったのは紙ヒコーキですね!やっぱり。
「想定してないのが来た!」っていうのをやりたいだけのネタコンビだと思うじゃないですか…それがまさか「再来年くらいに追いつくプラン」を回収してくれるとは!
笑甲編が盛り上がるにつれ「これ笑甲編で完結するだろうから紙ヒコーキのアレは回収されないな…」と遠い目になっていたので、まじで嬉しかったです(笑)
正直ゴジラネタからは今後面白くなる予感が全くしないけど、かなり頑張ったんだろうなぁ。
「最初は滑り散らかすけどめげずに順位を上げていって」を実行したんでしょうね。えらい…。

番外編が良すぎるので、まだの方はぜったい読んでくださいね…
この意味もなく裾を掴む仕草よ…!
読者にも愛されまくったシュプレヒコール
序盤から最後まで読者の好感度MAXだったシュプレ、2人の人柄もネタも最高でした。
誰が見てもあまりに明らかに最高なので、わざわざ私が語ることもないのですが、
てっ太のフォローをして回りつつ、自分はちょっと嫌なやつムーブを崩さない潤くんが最後までとても良かったですね。
てっ太は、やはり泥谷への「聞くに堪えない」のところの心の声が熱かった…!
物語の潤滑油でありながら、一番愛されたコンビでもあったので、その読者の感情までまるっとまとめて「会場がシュプレを勝たせたがってる」に持って行ったのはぐっときました。
抜群に強かったガラスの靴が割れた
そして、個人的にネタが一番好きだったのはガラ靴。
ネタ単体で抜群に面白かったし、回想との絡め方もとても良かった。
優秀な兄姉を持つひまわりちゃんが「これしか人を楽しませる術を知らない」とあっさり言うところ、ここの背景を深掘りせずに、「ひまわりはこのままでみんなから愛されまくる!」と断言するところ、好きなんだよなぁ。
湿っぽい話にはいくらでもできるのに、湿っぽくせず、だから2人の絆が際立つ。
2人でトロフィーに顔を映して「くだらねぇなぁ」ってやっているところが、何回読んでもさみしくて、でも温かくて、無性にぐっときます。
凛ちゃんに見つけてもらってラベルを貼ってもらえたことが、ひまわりちゃんの一番の幸運だと思う。
すごい成長を見せた天頂片道切符
そして最後はやっぱり天片…。
コンビ結成時の「ドッキリ大成功!」のくだりが大好きで、ここでやっぱり浅倉先生信頼できるな一生ついていこうと思ったんですが(重い)、この最初の最初から2人の役割分担が徹底しているのがすごく好き。
舞台に上がるまでは太陽の暴走を畦道がまとめあげ、舞台に上がってからは太陽が完璧にコントロールするっていう。
シュプレとかガラ靴みたいに元々親友同士で組まれたコンビも熱いんですが、互いの才能を必要として組んだコンビも良いなと…。
理詰め俯瞰タイプの畦道と、素直な全肯定気質の太陽の組み合わせがとても良い。
少年漫画と言えば喧嘩して殴り合って絆を深めるのが定番ですが(偏見)、この2人ぜんぜん喧嘩とかしてないんですよね。逆に珍しくないか?
高校生お笑いバトルの異質さに気付いたときもお互いを責めずに「大丈夫!やろう!」だし、畦道が台詞飛んだのも太陽は一言も責めてない。
そういった青春あるあるの感情のぶつけ合いを一切してないのに、
決勝で「太陽は大丈夫」と畦道が言い切るのになんの違和感もなくて、2人がちゃんと「相方」になっているのが自然と感じられました。
個人的に転換ポイントだったと思うのは、やっぱり太陽母に2人で会いに行ったときかなぁ。
太陽が畦道にせりぬんとのことを告白するところはまだ少し2人の距離があるようにも思えるのですが、畦道が太陽の過去をすべて呑み込んだ後は、ちゃんと相方になったように感じられます。
喧嘩やすれ違いなしで、2人の絆が強くなっていく様子を無理なく描いたのは本当にすごいと思う。
いや本当にすごいな浅倉先生!
おわりに
ということで全コンビ語りました!楽しかった!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
浅倉先生信頼できるな~で言うと、毒親描写に逃げなかったのもすごく好きです。
畦道、太陽、ひまわり、針金、実籾…あたり、ふつうだったら毒親描写したくなる要素がありそうでしたが、「クズ親を見返す!」というストーリーには誰もならず、みんな前向きなパワーにあふれていたのが、この作品らしくて良いなと思います。
要するに浅倉先生一生大好きということです。