『初×婚』13巻の発売を控えてテンション上がってるオタクのネタバレ感想です。
12巻までの内容で書いてます。
ネタバレ注意です！
『初×婚』関係の記事、こちらにまとめてます。→タグ：初×婚
感想！
意外と地に足ついた設定
まず言いたいのは、ういこん、奇抜な設定の出オチ少女漫画じゃないぞ！ということ。
実はかなり丁寧に設定が組まれているし、人間模様もとてもとても丁寧に描かれています。
まず、そもそもの後継者選びのとこ、エンタメ系の企業の社長選びの方法という点では悪くないのかも？と思うんです。
土台が社員の人気投票なので、誰が選ばれてもある程度の納得感はあるし、そもそも３年分の単純接触効果は馬鹿にできません。
社員に愛される後継者の選び方としては、個人的には納得。
また、自分たちの息子も候補の中に入っているというのが深い。
ふつうに跡取り息子が入社しても社員に軽んじられるだけ。
それなら厳しい戦いを勝ち抜いて、ということなら納得感があるし、社員が選んだということならなおさら。
息子に後を継がせるためだとしたら、割と、というかかなり良い案だと思います。
もちろん伸太郎が負ければそれで良いと本気で思っているからこそですが
また、カップルの同居についても、警報の存在があったり、食堂があって自炊しなくて良かったり、意外とちゃんと日々の生活のことが考えられてるのも好印象！
このために作った寮も、あの学園長夫妻のこと、卒業後は賃貸にするなりホテルにするなり、箱を無駄にしない計画が立ってるんでしょうね～。
（個人的には賃貸にして、転科カップルが元の部屋に戻ってきたりしたらエモいなって思ったり）
変な設定にツッコミ入れがちな私でも、違和感なく世界観に入り込めてありがたい。好き。
ういこんペアについて
教科書通りの１話が最高
まず１話からね…最高なんですよ…。
「親にはなれない」で下げてから、「旦那になる気はある」、さらには「おかえり」の回収と、ぎゅっと「ういこん」の良さが詰まってて、何度読んでも良いんですよね～～。
紺くん、ここからちゃんと毎回何気なく「おかえり」って言ってくれるんですよね。
やさしい…。好き…。
初ちゃんが我が強いのとても良い
初めの「おかえり」の件もそうですが、初ちゃんは嫌だなと思ったことを溜め込まずにその場で伝えるのがすごく良い。
紺くんの告白の件も初ちゃんの粘り勝ちだし、なかなか相性が良いのは本当だと思う。デステニーすご。
とはいえ我が強いのが悪い方向に出てることも結構あるのですが（まだ同じ気持ちを返せないと真摯に告げた紺君に対し「フラれた」とバッサリいったのは話聞いてた？(笑)となったし、七夕チャレンジで星出ちゃんの協力体制を断るのもちょっとアホなのかな…と）、
まっすぐで裏表がなくて、だからこそ人望がある、魅力的な主人公だと思います。
女子たちからのせこい嫌がらせにも、真っ向から立ち向かうところが好きです。
見た目で大人しい女の子だと思ってると痛い目見るぞ。
付き合うまでの紺くんの誠実さ
付き合うまでの紺くん、なかなか心決められずに情けない面もあるんですが、最初から最後まで誠実ではあったと思うんですよね。
振り返ると、初期の紺くんが初ちゃんにかなり冷たい対応してるのもわざとなんだろうなーと。
勝てさえすればガチ恋する必要ないと思ってただろうし。
その程度で勝ち上がれるほど甘い戦いではなかったわけですが
紺くんってデフォで人当たりが良すぎて、どうでもいい人にもすぐ惚れられちゃうし、その自覚もあったはず。
だから、うっかり初ちゃんに惚れられないように線を引いて、第一印象下げてたんだろうな。
だけど、徐々に初ちゃんに惹かれていくようになり…初ちゃんからすると歯がゆかったでしょうが、ちゃんと自分の気持ちが追い付くまで適当に両想いってことにしちゃうのは避けたんだなぁと。
初恋を大事にする気持ちが素敵だなと思います。
しょうもない嫌がらせでデステニーのマッチ率が変化したとき、にからんペアとトレードするが50%って言ってるけど、あの時点で気持ちとしてはトレードしない100%だと思うんだよな～～。
ただ、気持ちを殺して目的のためにトレードを選ぶ可能性があるから、初ちゃんが期待しないように五分五分で伝えてるんだろうなーと。
少女漫画的に良いヒーローの行動か？と言われると微妙なとこですが、両想い後のデレっぷりまで見ると、この時点で一番誠実な回答だったように思う。
紺くんの人柄が好きすぎる
紺くんが私も含め数々の読者を魅了している理由なんですが、とにかくバランス感覚の良さではないでしょうか。
とにかく優しい、けど相手が気負わないようにクズムーブで隠す。
自分に自信があるけど、自分が足りないところもちゃんと認められる。
意外と類似キャラが思いつかなくて、唯一無二の魅力だと思います。
無駄な見栄を張らない心の余裕もとても好きで、初キスした後に「初めてなんだけど」と申告する紺くんがめちゃくちゃ推せる。
あと、クズ計算ムーブで隠して、意外とストレートに初ちゃんにかわいいとか言えてるのもいいと思う。
ドッキリデート課題のやつ、ドッキリに乗ってるという体で本音だだ漏らしてるよね…かわいいやつ…。
結局理事長夫妻とフィーリングの合う初ちゃんが強い
初ちゃんの活躍
課題のとき、いつも最後は初ちゃんがいいとこ持ってきますよね。
予定調和と言えばそれまでなんですが、根本的に初ちゃんと理事長夫妻のフィーリングが合ってるんだろうなと。
あの理事長夫妻がこれ系の作品の「主催者」としては異色な、本当に良い大人で。
生徒たちをいがみあわせてニヤニヤ、ではなくて、勝負なんて気にせず楽しい高校生活を送ってほしいと本気で思っているのが伝わってきます。
ちょいちょいクラス対抗とかチーム戦を入れているのも、ふつうの青春を楽しんでほしいというメッセージなんだろうな～。
だから、勝負よりも「恋をする」とか「クラスで頑張る」を重視している、一見脳内お花畑な初ちゃんが強い。
特に意識してなくても理事長夫妻の意図する通りに動けるんですから。
特に１年文化祭！3000字近い激重ラブレターが、紺くんを救うという展開が熱すぎましたね～。
最後は愛が勝つ！というメッセージが作品全体を貫いていてすごく好き…！
３年結婚科がギスギスせずに仲良しなのも、理事長夫妻が２年間伝えてきたことの結果だと思う。お金が欲しいだけの人は勝ち上がれない。
まあ、誰であっても蹴落とせばいい、みたいな人に自分の大事な会社を継いでほしくはないよね
ゴールデンカップルに求めるものとは…
２年生前半くらいまでは、個人的にはゴールデンカップル選びにはかなり物申したい感じでした。
結局「優秀なカップルを選びたいのか？」「ラブラブカップルを選びたいのか？」ってとこがあいまいに見えてたんです。
けど、３年生までの流れを踏まえると、どちらかといえば後者で、さらに「人柄」を重視してるんだなと納得がいきました。
恋人も含め、周囲の人を大切にできる人物を求めているんですね。
いや、本当に後継者選びとして真っ当すぎて。素晴らしい作品すぎません？？
いわしかめペアについて
勝ち筋はあったのか？
話は変わって、まさかまさかのリアルカップルになったいわしかめペア。
突然の岩清水上げにはびっくりしましたが、まあ根は悪い人ではなくて…、ただ無神経なのが最初はひたすら悪い方向に出てたのかな～。
このいわしかめペア、個人的にはゴールデンカップルは無理でも上位まではいけたんじゃないかなと思っております。
まずこのシステム自体人気投票の意味が強く、あゆかじペアのように自己プロデュースが上手いタイプか、ういこんペアのように愛されキャラ人たらしキャラが圧倒的に有利。
その点いわしかめペアは、見た目がきつめで口も悪い岩清水と自己主張のない地味女子羽生ちゃんと、まず勝つのは厳しい…。
ただし、第一印象がいまいちだからこそ、意外性を出せれば可能性はあったなと。
この点、岩清水くんには誰にも負けない強みがありました。
第一印象が悪い分、ちょっといいことしただけでものすごく良いやつに見えるという、他の人にはないアドバンテージが…！
ヤンキーいいやつ理論ですね。
各自でSNS投稿していた夏休み期間中「岩清水くんがご飯つくってくれました♡」「サプライズで花束♡」とか、羽生ちゃんを大切にしているアピールをすれば、ギャップで一気に人気上位に躍り出ることも不可能ではなかったはず。
夏休み目立てなかったとか当たってる場合じゃないんですよ…！
ただまあ、最後に羽生ちゃんのために転科したのはキュンとしましたね（これがヤンキーいいやつ理論）。
にからんペアについて
相棒感が良かった
正直、初期の虹叶くんが初ちゃん初ちゃん言って、嵐ちゃんの気持ちをあんまり考えてないのは好きではないです。初ちゃんが好きとはいえ…。
体育祭で一人置き去りにされる嵐ちゃん、美人でサバサバしたキャラだから悲壮感ないけど、ふつうに可哀想すぎる…。
ただ、きっちり失恋してから、相棒として嵐ちゃんのことを一番に考えるようになったのは正直ぐっときてしまった（これも岩清水と同じで第一印象が悪いからではある）。
失恋しかけた嵐ちゃん泣けた
先に気持ちを自覚した嵐ちゃんが、人知れずめちゃくちゃ努力しているところがとても好き。
なんでも分析したり頭で考えてしまうとこ、自分では可愛くないと思ってるみたいだけど、そんなことないよ～～～。一生懸命で愛おしかった。
船上試験ではっきりと自分の気持ちを示し、しかし失恋したと思って悲しむ嵐ちゃんの姿には本当に泣かされました。
いや、本当に主人公以外もすんごく丁寧に描かれているんですよこの漫画…。
このペアの顛末は最後の最後まで読めなかったので、無事両想いになれたときには感情があふれて一回本閉じた(笑)
しんめーペアについて
めーちゃんが好き
アクの強いキャラは苦手なので、伸太郎もめーちゃんも最初に登場したころはあんまり好きではなかったんですが、2人とも気付いたら大好きになっていました。
私、めーちゃんみたいに毒親事情持ちのキャラも本来好きではないんです。
読者の同情誘う感じとか言い訳感が、なんか安直な感じがして…。
でも、これは初ちゃんもそうなんですけど、事情をひけらかして何かの言い訳にしたり、わたし可哀想でしょ！って感じがなくて。
だから私のようなひねくれた読者でも拒否反応出ず、心から「幸せになってほしい」と思うことができるんじゃないかなーと思います。
ふつうじゃない愛の形が素敵
そんなめーちゃんに関しては、２年文化祭で愛について聞かれて「伸太郎がいつもくれるもの」と答えるのがね…あそこ何回読んでも泣ける。
分かんないって書いてから、ちっちゃい文字で書き足してるのがめーちゃんらしくて本当に好き。
最初は一方通行感のある伸太郎の愛ですが、ちゃんと両想いになってるんですよね…。
進級課題のときも、めーちゃん側からこの関係が終わらないように頑張るのがとてもとても良かった。
しんめーに関しては、恋をすっ飛ばして愛になった感じなんでしょうね。
ゴールデンカップルにならず、この関係に名前をつけないといけなくなったときにめーちゃんがどうするか分からないですが、きっとこの先も２人は一緒にいられるんだろうな。
あゆかじペアについて
このペアについては、正直ごめんなさい、12巻までいまいち魅力が分かっていなかった…！
のだけど、12巻でようやくあゆあゆの気持ちが語られて、思ったよりずっと「考えてる」し良い子だなって分かってすんごく好きになりました。
詳しくは発売時の感想で書きましたが、あゆあゆの男前なところが大好きだし、すごくういこんらしい展開で熱かった…！
それにきっちり付き合うカジカジも素敵な彼氏だなーと。
七海一家について
七海夫妻に息子がいて、ゴールデンカップル争いに参加していると聞いたときには、「は～さぞこじれて歪な家族関係なんでしょうね～～～」なんて思ってしまいましたが、ごめんなさい、全然そんなことなかった。
七海ファミリーも関係も大好きです。
伸太郎が神
まず伸太郎の人間性がまじで素晴らしいと思うんですけど、今まで一度も「後継者の座は本来僕のもの」的なテンプレ発言してないんですよ。
めーちゃんとの初対面時に「親と同じように1番にならなきゃ」とは言ってますが、セブンオーシャンの社長の座を既得権益と思ってはない。
「なんで僕の権利を他の奴らに！？」的な親不信にもなってない…ですよね、ここまで読む限り。ただ１番にならなきゃと気負ってただけ。
いやこんなピュアな御曹司いる？？
逆にセブンオーシャンに興味ゼロってことでもなく、でも親に不信感抱かず、真剣に勝負に参加するってふつう出来ませんよ。
凡人なので伸太郎の思考回路がいまいち理解しきれないのですが、とにかくすげー。
仲良し七海ファミリー素敵
加えて、先に書いたように、厳しい戦いを経て社長になることは伸太郎にとってもすごく良いことだと思うんです。
七海夫妻は息子のこともちゃんと考えて七海学園を作ったんだなって。
それを伸太郎もちゃんと理解してるのか、親子関係がまともなのが本当に素晴らしい。
ふつうだったらここに親子関係のねじれをぶちこんじゃう。ういこんほんと推せる。
洞窟でケガした伸太郎を心配するママと、それに対しふつうの思春期男子の対応してる伸太郎のあたり、好き。
誰がゴールデンカップルになるのか？
ではここから考察というか推測を…
本命：ういこんペア
まぁやはり本命は無難にういこんペア。
３年時からいいね評価に普通科票も入るっていうのは、完全に今まで他人との関わりを大切に誠実にやってきた初ちゃんが勝つ布石でしょう。
自分らだけ良ければいいや！で卑怯な手で勝ち上がってきたペアなんて、いくら優秀でもトップには置きたくないでしょうから、理に適っていると思います。
一方で、このペアが社長にならないとだめか？というと、初ちゃんは紺くんといられればなんでもいいんだし、紺くんの方はデータが取り返せればいいだけ（ついでに父親に嫌がらせくらいはしたいかもしれないけど）。
現社長はまともな大人だし、新社長も友達の中の誰かがなるということを考えれば、現時点で目的は達成したようなもの。
てことは、メタ的に考えて、ういこんペアが勝たない可能性もまだ残ってると思います。
ここまで真剣勝負を見せてきた結婚科。
主人公だから、紺くん可哀想だから、っていう物語の外の理屈だけで勝ってほしくないな～とは個人的に思っています。
なので、紺くんのデータの件は事前に決着つけて、それとは別に最終勝負をしてくれるのが個人的には一番なんですが。
対抗：しんめーペア
とはいえ、最後の二組にはういこんペアは確実に残ると思います。さすがに。
ではもう１組がどうなるかというと…。
新キャラ３組についてもこれから掘り下げがあるはずなのでそれ次第ではあるのですが…
やはりここまでの積み重ねを考えるとにからんペアかしんめーペアが残るのが妥当かな～と。
リザルトも今のところは上ですし。
じゃあどっちかってなると…うーん僅差でしんめーかなぁ。
にからんについては、虹叶くんは特にゴールデンカップルにこだわりないし、嵐ちゃんの方もセブンオーシャンに入りたいだけなので、ここまで社員が人間性を知ってれば普通に就活して落ちることはまぁないでしょう…。優秀だし、いい子だし。
物語的に、このペアが負けて困ることはないかなと。
一方でしんめーの方は、やっぱり伸太郎がセブンオーシャンを継ぐということをどう考えてるのか、もう少し掘り下げが欲しいところ。
それが３学期にあるんじゃないかなーと期待して、最後に残るのはしんめーかなと。
社員たちに祝福されて社長に就任する伸太郎の姿を見たい気もします。
（外野は出来レースと言うかもしれないけど、本人は気にしないだろう）
大穴：伊刈・多幸ペア
基本的にはいつもの3組から選ばれるだろうなとは思ってるんですけど、個人的に気になるのは、３年次にあえて女子ペアをぶっこんでること。
誰も何も言わないけど（そこが素晴らしいと思うけど）、どんな紆余曲折を経てここまで勝ち上がってきたのか気になりすぎる。
2年学年末のリザルト20位以内ということは社員も受け入れてるということでしょうから…。
物語的に、あえてここまで競ってきた3組ではなく、他のペアを勝たせるのも全然ありうるなと思ったり…。
おわりに
最後まで読んでくださりありがとうございました！
ういこん完結しないでお願い。
