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【ネタバレ感想】高畑京一郎『タイム・リープ あしたはきのう』

【ネタバレ感想】『タイム・リープ あしたはきのう』 ラノベ
ラノベ
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新装版『タイム・リープ あしたはきのう』が出ましたね!
すごく良かったので、新装版の感想含め、つらつらと書いていきます!

えしゃ
えしゃ

ネタバレに配慮していない感想なので、未読の方はまだ読まないでください!

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『タイム・リープ あしたはきのう』感想!

無駄のない時間パズルが素晴らしい

何度読んでも構成が神。
伏線が回収されたり、繋がったりする瞬間の快感がやみつきです。

そんなに長くない作品の中で、無駄なく話がまとまっているのが本当に好き。
それでいて伏線が露骨じゃないのも、もはや職人芸。

よくこんなの書けるなぁと思っていましたが、新装版収録の裏話を読んで納得。
最初は若松くん視点のお話だったそうです。
若松くん視点・翔香ちゃん視点両方で、この複雑な時間パズルが組み上げられていったんだなぁと、嬉しい裏話でした。

若松くんはいつ翔香を好きになったのか?

若松くん視点で見ていくと…

その若松くん視点で見ると、かなりの急展開なんですよね。

  • 水曜:クラスメイトの女子が、意味不明な「相談」を持ちかけてくる。しかも情緒不安定。
  • 木曜:全疑状態から、賭けの結果を経て「信じたつもり」に。
  • 金曜:翔香が命を狙われていることを確信。
  • 土曜:命懸けで守りきり、キス。

翔香ちゃん視点だと丸一週間あったのでそうでもないですが、若松くん側はたった4日でここまで心が動くのか…!?と。
しかも、助けられた側ではなく助けた側ですし…。

これに関しては、おそらく、

そもそも好感を持っていた

もしくは

顔が好み

のどちらかかなぁと思っています(笑)

前者に関しては、翔香ちゃんはクラスに迷惑をかけるようなタイプではないので、とりあえず手のかからない女子として、嫌いではないくらいの状態だったのかな?と推測。

頭のいい若松くん。中学時代のA子ちゃんが特異なクズだっただけで、世の中の女子全部がそうでないことは頭では分かっていたはず。
トラウマがあり、最初に警戒心が来てしまうのだと思いますが、翔香ちゃんのことは無害な女子として認識していた可能性はあるのかなーと。

また、後者に関しては完全に憶測ですが、本文中では特に容姿には触れられていないものの、電撃文庫版の翔香ちゃんも新装版の翔香ちゃんも明らかに美人。
美人から頼られて悪い気はしなかったのでは?と思います(笑)

ターニングポイントは木曜の階段落ち後か

翔香ちゃん視点だと時間が行ったり来たりして、親密度も上下するので分かりにくいですが、若松くんの態度がはっきり変わるのは、木曜の階段落ち。
あの時点で「また未来を見てきたんだな」という言葉が出てきたのは、かなり翔香ちゃんの言うことを、というか、「翔香ちゃんは本気でそう信じているということ」を信じていたのだと思います。

最初に接触した水曜の時点では、またろくでもない女子がからかいに来たのか、という疑いをかなり持った状態と思われます。

その後、木曜のテストの点を翔香ちゃんはぴたりと当てますが、これも当てずっぽうでできなくもない範囲。
(若松くんの点数は1/5の確率で当たる(と若松くん本人は思っている)し、翔香ちゃんの点に関しても、抜き打ちテストがあることを推測するなどして死ぬ気で勉強すれば、不可能とは言い切れない)
まぁ、男一人からかうためにしてはあまりに手が込んでいるとは思ったでしょうが…

ただ、本人の言っていた通り階段落ちの現場を見に来て、まぁ明らかにうっかりだし、その瞬間に急に様子が変わる(金曜の車の後から戻るから)。
本気でおびえているのが分かったので、真実はともかく、翔香ちゃんが嘘を言っていないことはこの時点では確信したのかなと。

もし翔香ちゃんが若松くんを騙そうとしていた場合、「分かってるよ、鹿島」なんて言ったら爆笑案件ですからね…。
過去のトラウマから発言には気を付けていたと思うので、これは本当に本心だなと、ときめきます…。

そこからさらに、木曜の放課後に詳細に話を聞くわけです。
ここで、翔香ちゃんは起きている現象を全く理解していないのに、同じ時間を繰り返さない・怖いときに飛ぶなど、筋が通っていることを確認できて、これはマジだなと思ったんじゃないかなと。
月曜への往復前後では、信じたつもりどころではなく、本気で信じてくれているように思います。

最終的には日曜からの手紙で落ちたのかな

このように、本当に困っていて、本気で自分を頼っていることが分かった若松くん。
態度を見ていても、翔香ちゃんにかなり心を開いているのが分かります。
命の危険に関しても本気で怒りを感じます。
ラブコガチ勢としては、ここでもうキュンキュンキュンなわけですが…

完全に落ちたのはやはり日曜からの手紙なのかなぁと。
翔香ちゃんらしい、要領を得ないながらも、真剣な言葉で「逃げてほしい」と書いてあるのは、ちょっともうかなり心を掴まれたのではないでしょうか。

ここで逃げたら男じゃねぇな、と若松くんが思ったのかは分かりませんが(笑)、実際逃げずに見事に翔香ちゃんを守りきりました。
「車に乗るやつも…」がかっこよすぎるんだわ!!!!

しかしちょっと迂闊じゃないか

話の展開上仕方ないと思いますが、命が狙われているのに、金曜の夜に翔香ちゃんを家の外に連れ出すのはどうなんだ。
いくらなんでも、若松くん同伴で外に出るよりも、家の中にいる方が安全でしょう。

あと、絶対ダメなのが日曜夜の翔香ちゃん!
書いた手紙投函しに外出したらダメでしょ??危ないよ!!って毎回思ってしまいます…!

月曜に後頭部以外の怪我はないこと、月曜以降に中田が学校を休んでいることから、再襲撃はないと言い切っていいのかもしれませんが、手紙を出すことにより未来が変わると思っているのですから、やはりちょっと迂闊ではないかと…。
せめて親についてきてもらってくれ~危ないよ~

タイトルは本当に『タイム・リープ』で良かったのか

昔から気になっていたのですが、この『タイム・リープ あしたはきのう』というタイトル、ネタバレすぎません?(笑)

月曜を飛ばして火曜をやり、水曜を半分やって木曜に飛んだ翔香ちゃんは、「別人格が自分の身体を動かしている」と本気でおびえます。
ただ、それに読者があまり共感できないんですよね。
タイトルから、時間跳躍が起きていると最初から分かっているので。

タイムリープやループが起きる小説の場合、あらすじでそれが分かっていることが多いですし、それを狙って読みに来る人もいるので、これで良いのかもしれないのですが…
やはり、タネが分かるまでは主人公の翔香ちゃんと同じ気持ちでおびえてハラハラしたかったなぁと、それだけ毎回モヤっとします。
木曜日の翔香ちゃんの不安な気持ちが丁寧に描かれているだけに…

ラストが好きなんですが…

ちなみに新装版で収録された裏話で一番びっくりしたのは、ラストのおまけが元々はなく、高畑先生は渋々差し込んだということ。
なくてはならない大事なオチだと思っていたので衝撃でした…!

タイムリープ現象を2人で解決し、「未来は分からない」という言葉が出てくるところがすごく好きなんです。ここ。
2人の関係はこれからどうなるか未確定だけど、一緒に歩んでいこう的な…キュンなんですよ!!
これは編集さんの判断が正しかったと…!

新装版の変更点まとめ

2022年に出版された新装版、中身はほぼ同じですが、いくつか変更点をまとめました!

おわりに

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
やっぱり名作は何度読んでも、何年たっても色あせませんね。
これからも大好きな作品です!

プロフィール
えしゃ

えしゃ(@shallot0147)と申します!
・ラブコメ好き。少女漫画とラノベが大好きです!
・雑食&乱読
・好きなジャンル:ラブコメ、広義のミステリー、ローファンタジー、食べ物が美味しそうな話
・愛読書:辻村深月『名前探しの放課後』

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