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【ネタバレ感想】雨宮和希『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』うまく言えないけどめちゃくちゃ好きだ~!

【ネタバレ感想】『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』 ラノベ
ラノベ
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「灰原くん」5巻も最高だったので、1~5巻まで踏まえた感想書きます!

えしゃ
えしゃ

ネタバレ&長文注意です!

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感想!

書きすぎないテンポの良さ

5巻発売にあたり1~4巻の復習をしたのですが、やっぱり「灰原くん」はとにかくテンポが良い!

どちらかというと行間で読ませるタイプと言えるでしょうか。
心情を「丁寧に」描くあまり、ダラダラしたり同じこと何回も言ってるよ…?となる作品は意外と多いものですが、
「灰原くん」では心情描写は割合あっさりしているのでサクサク話が進んで、これがなかなか心地よい。

そして何よりすごいのが、5巻までで面白さ指数が全く下がらないこと。
テンポの良さも大きく寄与していると思いますが、ここまで捨て巻なく、また各巻ごとに違った魅力があるのは本当にすごいこと。

全くオタクの予想通りに運ばない

そして、個人的にとても好きなのが、よくある展開通りに運ばないこと!

・幼馴染と共同戦線してるうちにそっちといい感じになっちゃうんでしょ?
→そうはならない。幼馴染の矢印ガン無視。

・ヒロインたちに順番でスポット当てていくんでしょ?
→ならない。熱いバンド回と熱いバスケ回が始まる。

・イケメンを落とすのに苦労するんでしょ?
→ならない。イケメンの側の矢印が大きくなっちゃう。

・後からいい感じになった子とくっつくんでしょ?
→ならない。迷った末に最初に好きだった人にいく。

・ヒロイン全員夏希のこと好きになるんでしょ?
→ならない。七瀬がいっこうにヒロインレースに乗ってこない。

…といった感じで、あるある予想が全然当たらないので、もうめちゃくちゃ楽しい
定石通りにいく楽しさもあるのですが、外してくるのもすごく良いなと思いました。

あと、かといってテンプレ展開に対する「逆張り」感がないんですよね。
たぶんそこは特に意識してないんじゃないかなと思います。
だから一つひとつの展開に無理がなく、納得できるのかな~と。

一見唐突な展開にも納得感がある

1巻:夏希覚醒、2巻:詩&美織回、3巻:陽花里回…ときたら、当然4巻は唯乃回じゃないですか。

ここで唯乃ちゃんの掘り下げをして、とうとう夏希に惚れてしまうのか…?と思いきや、4巻はまさかのバンド回。

しかも新キャラポジの芹香はバンドガチ勢で恋愛どころじゃないし、唯乃ちゃんの掘り下げはしないまま陽花里ちゃんとくっつくし。

4巻で突然音楽ラノベになるのはかなり唐突な感じがするんですが、なんだろう、読んでるとめちゃくちゃ納得感があるんですよね。
突然のバンド展開なんですけど、読んでいて特に違和感がないというか。すぐなじんじゃう。

たぶんヒロインに順番にバトンを渡していかないっていうのが作り物感がない…とかそういう感じだと思うのですが、正直この「灰原くん」独特の納得感がなんなのか言語化できていないです。
雑にまとめると、プロの技!

夏希が好き!

突然ですが、最近のラノベ主人公ではぶっちぎりに夏希が好きです。
他に好きなラノベ主人公って人間的に優れた「かっこいい!」な人が多いのですが、夏希は断然「カワイイ!!」。

もうキモぼっちムーブが愛おしすぎるのですが。
「フフフ」ってなんだよもう、好き!!

1巻の怒涛の自虐ネタが結構好きなので、最近リア充化してあまり見られなくなって寂しい。

でも、本当は2人の女の子の間でうろうろする男全く好きではないんですよ。
2~3巻の展開、詩に気を持たせた末に振る流れ、全然好きじゃないはずなんですよ。

なのに!なぜか読んでいて嫌悪感を全く抱けない…。
むしろ夏希への好きが増すばかり。

ここもうまく言語化できないのですが、とにかく不器用で誠実な性格の夏希、迷っている間も「2人を困らせている」「振り回している」という自覚があったのが個人的にはグッドなのかなと。

とりあえず好き。

陽花里と詩について

さて、ここで三角関係を形成した陽花里ちゃんと詩ちゃんについて。

この2人が最高だなと思ったのは、4巻でお互いの気持ちを打ち明けあったシーン。

どちらも嘘をつかず、かといって牽制するでもなく、ただお互い夏希が好きだということを共有し、「恨みっこなしね」に持っていったのが本当に尊い。

別作品で一人が勇気を出して打ち明けたのに誰も乗ってこない…という絶望の展開にモヤっときたことがあるからか(それはそれで伏線として仕方のないことだったのですが)、
お互いの気持ちを素直に認めあう2人にはぐっときました。

なんというか、いい子すぎるけどいい子すぎないというか…。
2人とも人間味があってすごく良い。

そして、そんな2人に無理やり「親友」のラベルを貼らず、描写で親しさを表現するのもすごく誠実で素晴らしい。好き。
親友って書いてるけど全然気の置けない関係に見えない…というのも、個人的にラノベあるあるなので…。

夏希と陽花里について

迷った末に陽花里ちゃんを選んだ夏希。

描写があっさりしているのはこの作品の美点なのですが、陽花里ちゃんへの想いがノリなのかガチなのかは正直ちょっと1~2巻では分かりにくかったかも。
(だからこのまま詩ルートか…?とも思ったわけですが)

ただ、3巻を経て4巻で「陽花里でないとだめ」という気持ちがちゃんと伝わってきたので良かった。

4巻のライブのシーンも良いんですが、そのあとの2人で抜け出して気持ちを確かめ合うシーン、2人の気持ちの穏やかな高まりがよく伝わってきて最高でした。

陽花里ちゃん、最初から意外とサバサバしてるなと思って好きだったんですが、告白のシーンも過剰に女の子感出してこなくてとても良かったですよね。好き!

ただ、夏希が詩ちゃんとの間でうろうろしたのは事実なので、お付き合い始まってからしこりにならないかな…という点は心配だったのですが、陽花里ちゃんが思ったより夏希のことをよく分かってた。
うろうろしたことネタでも責めないし、ほんとできた彼女ですわ。

詩ちゃんのこともあって、周りも2人が付き合い始めたことはそっとしとく感じなので、周囲の雰囲気含めてとても良い。
とりあえずすぐ別れるカップルの雰囲気は出してないな、とホッとしました。

一度付き合った彼女を捨てる展開は大嫌いなので、今後そうならないように強く強く願います。陽花里ちゃんを捨てたら許さん。
この感じだと杞憂だと思うけど。

怜太と美織について

とにかく意外だったのが、怜太が美織のこと好きになっちゃうところ。

2巻で夏希に打ち明けたときは、私も「え?もうそんな感じなの?」とかなりびっくりしました(笑)

でもここ振り返ると、美織が夏希に気持ちがあること分かった上で、全部まとめて夏希に確認を取ってるんだなって、いや~~怜太本当にいいやつだなって…。

怜太がラノベでよくあるミステリアスイケメン感を出さず、直球で勝負しているのがとてもとても好き。
5巻で美織に夏希への気持ちを問いかけるシーン、ここで切り込むのかという驚きと、怜太の本気度が伝わってめちゃくちゃ痺れた。好きすぎる。

この2人はこの2人で良いと思うんですよね。
美織はずっと夏希に気持ちを残すかもしれないけど、それとは別で怜太も「一緒にいて心地良い人」ということになっていくと思うので、お互いいろいろ考えずに傍にいるのが良いのかな、と思ったり。

ただまあ、美織は同性に敵を作りやすいタイプなんだろうな…。
他人にも自分にも厳しいタイプなんだけど、自分はミスとかしないからただ「他人に厳しいだけの人」に見えて反感買うやつ。

2巻のバスケ部騒動のときもあまり上手くない対応だなと思っていましたが、もしかするとこういうトラブル慣れっこで、投げやりなところがあったのかも。

こういう子はとにかく生き辛いから、全肯定彼氏がいるのはとても良いので、そういう意味でも怜太と付き合ってるのは良いと思う。
ていうか怜太を捨てたら許さん。

5巻のラスト不穏だったけど、きっと上手いこと吹っ飛ばしてくれるのだと信じています。

詩と竜也について

そして、5巻の竜也と向き合う詩ちゃん、とても良かったですね…!

実は私が「灰原くん」を知ったのは詩ちゃん表紙の2巻のころなのですが、そのときは表紙だけ見て完全に儚いミステリアス系ヒロインだと思ったよね(笑)
1巻読んだら元気印の体育会系女子でびっくりしました。

だけど、詩ちゃんって本当はものすごく繊細な感性の持ち主で、周囲のことをよく見てて、そしてちょっと儚いところもあって、読めば読むほど2巻の表紙のイメージのままなんですよ。

4巻で失恋した詩ちゃんが、陽花里ちゃんに宛てた夏希の曲を聴いて「この曲を良いと思える感性があってよかった」って言うのがもうめちゃくちゃぐっときて。
心がきれいすぎるし、言葉のチョイスが上手いし、心臓掴まれました。好き。

このまま素直に竜也と上手くいくといいけど…。
どうかな、ちらっと唯乃ちゃんと竜也が仲良くなってるのも、個人的には推せる組み合わせなので気になる。
七瀬→竜也→詩の三角関係第3ラウンドにもつれこむのも全然構わないな~むしろ見たい(笑)

1周目の謎

最後に今のところ疑問なところをつらつらと…。

美織はどう過ごしていたのか

陽花里ちゃん・詩ちゃんは、夏希が覚醒しなかったら、おそらく恋を知らないまま、モブの告白をばっさばっさと斬って高校生活を終えたのだろうなと予想できます。

一方で美織ちゃんに関しては、5巻までを読む限り、高校入学以前から夏希を好きだったとしか思えないのですが、夏希がリア充化しなかったら怜太くんと付き合うこともなかったんだろうか?

そもそも、2周目でなぜ怜太くんを持ち出して話をややこしくしたのかもよく分からないですし。
入学当初の夏希は、別にそこまで陽花里ちゃんを好きな感じでもなかったんじゃないかと思いますが(虹色青春計画の目標にしてただけ)、なんか他に諦めないといけない要素があったんだろうか。

少なくともバスケ部のトラブルは夏希に関係なく起こっていたのではないかと思いますが、一人でちゃんと切り抜けられたのかなぁ…。

竜也は勇気を出せたのか?

夏希がリア充化していない世界線で、竜也が詩ちゃんに想いを伝えられたのかどうかもちょっと気になる。
夏希が竜也の気持ちを知らなかったということは、1周目では付き合ってなかったってことかな、と思うのだけど。

夏希が知らないだけでほんとは付き合ってた…もありえそうだし、

恋愛に興味ないからと詩ちゃんがフった…も全然想像つくし、

意外と繊細な竜也が高校在学中に勇気出せなかったのかな、っていうのもありそう。

1周目でどういう結末を迎えていたのか、いまさら誰も分からないと思うけど気になるな~。
仮に1周目付き合ってなかったのが、2周目なんやかんやで付き合うことになるのなら、夏希の存在が世界に良い影響を与えたってことになってなんかハッピー。

夏希はなぜ嫌われ者だったのか?

何回読んでも、5巻まで来ても意味不明なのですが、なぜ夏希は学校中の嫌われ者だったのだろうか…。

見た目がイケてない、何か秀でたものがあるわけでもない、の割にちょっと調子乗ってる。

いや、それは分かるんですけど、そもそも夏希って愛されキャラですよね?どう見ても。
いいやつでまっすぐで、ちょっと抜けてるところがあって。

人の彼女に手を出すくらいしないと総スカンくらわないと思うのですが、そんなことするわけないしな。

大学生時代の知恵や知識を活かしているので1周目の記憶が壮大な夢ということはなかろうと思いますが、そうでもないと納得できないところです。
だってみんな夏希好きじゃないの?

おわりに

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
ところで紙本で読んでると、1巻の見開き口絵で夏希が陽花里ちゃんの頭を抱き寄せてるようにしか見えなくて(冷静に見ると唯乃ちゃんの手なんですが…)毎回無駄にドキドキするんですが、私だけでしょうか?笑

プロフィール
えしゃ

えしゃ(@shallot0147)と申します!
・ラブコメ好き。少女漫画とラノベが大好きです!
・雑食&乱読
・好きなジャンル:ラブコメ、広義のミステリー、ローファンタジー、食べ物が美味しそうな話
・愛読書:辻村深月『名前探しの放課後』

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