福山陽士先生の『1LDK、そして2JK。』読みました!
失礼ながらあまり期待していなかったのですが、かなりかなり好みだったので感想残します。
ネタバレ注意です!
感想!
JK…「×2」なのが上手い!
家出JKものと言えば有名作品があり、正直それの二番煎じかなーくらいに思っていたのです、が!
ごめんなさい、全然違いました!
むしろ私はこちらの方がより好みでした(^^;)
設定が絶妙だな~と思ったのは、合法的に預かっている従妹JK(奏音ちゃん)がいることですね。
某作に比べると、ここでかなり犯罪感が薄れます。
ひまりちゃんのことが仮にバレたとして、奏音ちゃんの友達と言い張ればギリ犯罪にならないのでは…と思えるところが、読者的に結構安心して読めたのかなと。
(それでも褒められたことではないと思いますが)
さっぱり明るい雰囲気が良かった
また、3人暮らしの良い点として、当然ですが、3人暮らしなので変な雰囲気になることもなく、シェアハウス感があって楽しそうだったこと。
そう、3人の日々がすっごく楽しそうだったんです…!
ここが一番意外で、嬉しい不意打ちでした。
奏音ちゃんのご飯を美味しいね~って言いながら食べたり、ひまりちゃんのバイトの話を聞いたり、たまにおやつを食べたり(そして注意されたり)、すごく生活感があってとても良かった。
毎回多少の事件がありつつも、全体的にとても穏やかに3人の生活が描かれ、そして3人がある意味「家族」のように絆が深まっていくのが素晴らしかったです。
世間的に悪いことだとは分かりつつ、この日々がずっと続け…と願う3人の気持ちがとてもよく分かって、心に響きました。
奏音ちゃんとひまりちゃんの関係が良い!
そして、なんといっても、JK2人の関係性がとても良かった。
同じ人を好きなヒロイン同士の関係がここまで良いのは、他にあまり見たことがないかもしれない。
と思うくらい良かった。
ラノベにおける「親友」という言葉が苦手で、というのも「親友」を名乗ると「主人公の親しい友達」ではなく「親友ポジキャラ」になることが多いから。
何が言いたいかというと、主人公と大して仲良くなさそうなのに、物語の潤滑油となるために「親友」の皮をかぶらされているように感じるキャラがすごーーく多いんです。
逆に「親友」と名乗らせないキャラはたいてい良いキャラで、そういう作品の方が好み。
奏音ちゃんとひまりちゃんもまさにこれで、お互いに「親友」と言いあうことはなく、そういうふうに認識している感じもしませんでしたが、2人の関係は「親友」だな、と客観的に思いました。
仲良し姉妹感もあるけど。
同じ人を好きだと分かっていても、自分の気持ちをさらけ出したり、何かあったら真っ先に心配したり。
あーーーこういう2人、良いなぁ、尊いなぁと噛みしめながら読んでいました。
最後にひまりちゃんを奏音ちゃん一人で見送りに行くのもとても良かった…。
この出会いがあれば、きっとひまりちゃんはこの先ずっと大丈夫だろうと、なんだかそういうふうに思えたんです。
非鈍感系主人公も良い!
そして、主人公がまた良かったですね。
個人的に1巻がかなりぐっときた。
まず、ひまりちゃんのことがバレたら自分の保身のために彼女を切り捨てる「覚悟」をしているところ。
ここね、正直、出会ってすぐのJKに、社会人が「何があっても絶対守る」とか言ってたらちょっと気持ち悪いんですよ…。
なぜそこまで?っていう。
もしくは、自分が悪人になる決心ができない偽善者の現実逃避で、それはそれで残念。
そうではなくて、ちゃんと最悪の場合の算段をしているのが逆に誠実で、とても良いなと思いました。
また、早々にJK2人の気持ちに気付いてるところも。
ふつうのラブコメなら、気付いて無視するな!ってなるんですが、JKとサラリーマンですからね。
これ以上どうしようもない。
これはね~~なかなか良い主人公ですよ…。
恋愛面でオチがつかないのが好感持てた
また、最終的に誰かを選ぶ流れにならなかったのもとても好感が持てました。
家族愛的な絆の話だと思っていたので、ここで急に誰かを選べば取ってつけたようになってしまうところ。
そこを回避しつつIFで済ませたのはとても良かったな、と。
個人的に誰にも肩入れしていなかったですし、ほっとしました。
恋愛面でオチがつかなかったのもそうだし、最終巻に特に山がなく、穏やかに、溶けるように夏が終わっていったのがとても印象的でした。
3人らしいなぁと思います。
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
本当に面白かったので、リアルタイムで読めなかったのだけが心残り。