長いようであっという間だった続編『GALS!!』の連載が終わりました…!
というわけで、つらつらと感想を書いていきたいと思います。
あんまり褒めてない感想なので、苦手な方はご遠慮ください
感想!
みほなっち先生twitter降臨から振り返る…
感想の前にまず、連載開始前の熱狂から振り返っていきます。
平成終わりかけの2019年春、突如藤井みほな先生がtwitterに降臨。
当時の美麗カラーの数々を惜しげもなくアップしていき、まさかの出来事に少女漫画界隈(?)は歓喜に包まれました。
いやだって、みほなっち先生だよ?『GALS!』だよ???
まさか平成最後にまた蘭ちゃんたちに会えると思わないじゃん・・・!!?
みほなっち先生がお変わりなく元気そうなのが分かったのもファンとして嬉しかったですし、何より『GALS!』考察が盛り上がったのが嬉しかった…!
本編『GALS!』連載当時、スマホはおろかガラケーすら出始めで(たぶん写真とか撮れないやつ)、SNSはもちろんないし、HP?ブログ?とかをやっている層は「りぼん」読んでる層とはかけ離れており。
今みたいに、ちょっと調べたら先人のネタバレ感想とか考察が出てくるような時代ではなかったんですね。
大人になってから自分の中で『GALS!』再ブームが来たのですが、乙幡くんの言動の解釈とか、ほかの人と答え合わせしたい!と思っても、今さら『GALS!』の考察している人なんて皆無。
それがみほなっち先生の活動再開をきっかけに、良質な考察がたくさん投下され、よく知っている作品なのに新たな発見があったりと、とにかく楽しかったです。
そして連載再開へ
そんな中、「続編読みたい」「お金払うから描いて!」みたいな発言をされる方が増えてきて。
ファンの間ではテンプレというか挨拶みたいな感じで、ノリでおっしゃっている方が多かったと思っているのですが…
なんと2019年秋に続編『GALS!!』の連載開始が決定。
そのときは、(みなさんがどう思ったかはわかりませんが)、私は正直ネタにマジレスみたいな、ちょっと気まずさを覚えました。
「いや嬉しいけど、そういうつもりで言ってたんじゃ…」と。
期待を裏切らない続編連載スタート!
そんなちょっと複雑な気持ちで始まった連載ですが、もちろんウッキウキで公開直後から読み始めました(笑)
連載開始して驚いたのは、衰えを知らない画力と、絵柄の変わらなさ。
20年弱経ってて、その間ほとんど漫画家活動されていないのに、画力が衰えることもなく、逆に上手くなりすぎて別人ということもなく、ただただ当時の絵柄のまま画力が維持向上されているのが衝撃でした。
109コラボ漫画のときもびっくりしましたが、ページ数の増えた連載でもこの画力はまじですごいなと。
キャラの顔、表情も、乙幡くん以外はまじで連載当時のまま。
そして、個人的に一番心配していたのが、「我々ファンと違って、作者様は当時の内容とかそんな覚えてないんじゃ…」ってとこだったのですが、それも全く問題なし。
連載開始にあたってかなり本編を読み返されたのか、2002年3月の続きとして全く違和感のない形で続編が始まり、感動しました。
JKの称号を失った蘭ちゃんがきつい
そんなこんなで期待を上回る内容だった続編『GALS!!』ですが…
正直、面白さは変わらないのですが、当時の輝きが失われているように思いました。
現実で時間がたっているから、自分が大人になってしまったから、という部分もあると思うのですが、たぶん何より大きいのが、カリスマ主人公の蘭ちゃんがニートであること。
カリスマショップ店員になるとか言いつつ、マミリンのように就職するわけでもなく、進路を決めないまま女子高生でなくなってしまった蘭ちゃん。
警察官採用試験を控えているので、よく言えば浪人生ですが、生活の実態は親のすねかじりニート…
本編と変わらずかっこいいことを要所要所で言っているのですが、「人の生き方に口出しする前に、自分の人生見つめなおした方がいいんじゃ…」っていう気持ちがどうしても出てきてしまって…
モラトリアム中の高校生が「自由に生きたい!」と言うのと、社会からドロップアウト気味の人が「自由に生きたい!」と言うのは全然違うと思って。
対比を狙ったわけではないのでしょうが、マミリンの方はカリスマ店員として世間で憧れられる存在になっている一方、蘭ちゃんは母校の文化祭ではしゃぐ老害OGみたいな…なんか…きつかったです…
町田組のハードな内容も令和にそぐわない
そして、本編の内容からしても若干やりすぎなような、町田組のハードな内容もしんどかったです。(いや、初期はオヤジ狩りとか結構犯罪話あったし、むしろ原点回帰…?)
2002年の話として書かれているので仕方ないですが、やはり今の令和の空気感にはなじまない話で、ほぼ読み飛ばしてしまいました。
ここについては、最後まで読んでも、ここまでハードな内容である必要はなかったんじゃないかなぁという微妙な気持ちです。
乙幡くんの本当の気持ちは解釈内、だったが…
そして、何よりびっくりしたのが乙幡くんの溺愛系彼氏への変貌。
私は当時から「乙幡くんは最初から最後まで綾ちゃんが好きだった」派閥だったため、本編の解釈からは外れなかったので、変貌自体はアリでした。
ただ、乙幡くんのキャラ崩れの方は気になりましたね…
本編のコミックスで「乙幡はちょっとでもズレると乙幡じゃなくなる」みたいな話がありましたが、本当にそんな感じ。
自分の中の乙幡くんとズレが生じていて悲しかったです。
こんなになんでもかんでもぺらぺらしゃべるやつじゃなかったじゃん…?
変化自体は人として好ましいと思うのですが、乙幡麗というキャラとしてはどうかなぁと。
本編当時より設定が盛られている…
あと気になったのが、全体的にエリート高学歴・富裕層設定が盛られていること。
本編で明言されていないのに、続編で明かされた設定が多く、しかも自分の想定よりかなり上…だったのでちょっと引きました。
たとえば、乙幡くん&綾ちゃん東大進学。
2002年前後の受験制度に明るくないのですが、とはいえ綾ちゃんの東大現役合格はぜったい絶対無理…!
そもそも本編当時は「国立大学」とかぼやっとした言い方で、それでも無理がある…と思っていたのに、続編になったら突然「東京大学!!!」ってなっててびっっっくりしました。
東大というのは、教科書なんか1回読めば頭入るだろ?的な天才タイプ(乙幡くんはたぶんこれ)、もしくはそこそこ要領の良い子が死ぬ気で勉強して行くところであって…
綾ちゃんみたいに要領の悪い自覚があり、高3夏休みふつうに遊んでる上に、秋になって進路決めて合格できる大学ではありません…!
(詳しくは持田あき先生の『初めて恋をした日に読む話』などを…!)
そりゃ職員室呼び出されるわ…
他にも、メインメンバーはなんとなく富裕層な感じ出してはいましたが、続編ではバンバン固有名詞が出てきたのでちょっと引いた。
乙幡くんが急に親をひけらかし始めたり、なんだかなぁと。
お家の地名まで言う必要あったかなぁ…
ラストで全部がひっくり返った
というような感じで、要は蛇足として感じていました。最後の最後まで。
面白いけど、連載再開して嬉しかったけど、ちょっと読みたくなかった気持ちもある、みたいな。
だんだん熱量が下がっていったのは否めません。
そして惰性で迎えた最終回。
まさかの…
蘭ちゃんとタツキチの決別。
ここで続編を読んできて初めて胸ゆさぶられたというか、「あぁ、この二人はこういう結末にたどり着いていたのか」と、驚きと納得と。
ここで二人が高校時代にケリをつけ、自分の人生を歩み始めるんだな、と思ってすごく…沁みて。
とにかくここの決別のシーンがかっこよすぎて、蘭ちゃんの成長というか覚悟も見えて、本編を読んでいたときの熱い気持ちがぐわっと蘇ってきました。
二人でノリで警察官になるのではなく、きちんと自分の道を見つけていけたことが切なく、そして嬉しかったです。
乙綾二次創作に応えるのがメインかとすら思っていた続編『GALS!!』ですが、ここに読者を連れてこようとしていたのか、と気づいて、改めてみほなっち先生すげーなと思いました。
正直、これから本編10巻の大団円をどういう気持ちで読めばいいんだ…とかは思いますが、それでも、続編読んでよかったなと心から思いました。
結論!
本編崇拝者からしたら基本蛇足だけど、読む価値はある続編だったよ…!です!
連載おつかれさまでした!!
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
やっぱり『GALS!』大好きなので、続編ふまえた本編の考察とかもそのうちやりたいなと思ってます^^