『命短し恋せよ男女』があまりにあまりに好みだった!!というわけでネタバレ感想です。
未読の方はご注意いただきたいのと、一般的な余命ものを割とくさしているので(ごめんなさい)、お好きな方は読まないほうが良いかもです。
感想!
余命ものの概念を覆す
まず断っておきますと、私はライト文芸でよくあるお涙頂戴系の余命ものが苦手です!
悲しいから!
というわけで、『命短し恋せよ男女』も興味を持てずにスルーしていたのですが、たまたま読んだら最高でした~~~。
これ、こういうものを求めていた。
死なない!そこが良い!
何が良いって、最後に4人全員ちゃんと助かるじゃないですか。
薬発見からの怒涛の展開が大好きなんですけど、誰も死なないの最高じゃないですか!??
ご都合主義と思われるかもしれませんが、あの、余命もので一番予定調和なのってそのまま死ぬことでは…。
そこに着地せず、誰も死なさない結末に持って行ってくれたのが、本当にめちゃくちゃ嬉しかったです。
余命ものってさ…
余命ものに限らず、誰かを殺すことでオチをつける作品ってダサいなと思っていまして。
特にお涙頂戴系に関しては、難病持ちのあの子は可哀想で、残される人は辛くて悲しくて、っていう図式に当てはめられすぎちゃうというか。
作品やキャラクターの個性がないように感じられちゃって。
(苦手ジャンルなので偉そうに語れるほど読んでいません。多分に偏見を含みます)
で、それを読む側も…すごく嫌な言い方をすると…人の不幸は蜜の味的な…(ちょっと違うか…)。
人の不幸を娯楽として消費する感じがすごく嫌だなって思うんです。
余命もの、読むと泣いちゃうんですけど、でも全然心が動いた感じがしなくて。
好きな作品を読んだときの、「ぐっとくる」的な感覚のことなんですけど。
登場人物が死んだらそりゃ悲しいよねっていう、反射で泣いてるだけというか。
なんか読み終わった後すごく虚しくて…。
といってもこれ、私にそこから何かを感じ取る感性がないだけっていう話かもしれないです。
のちこい最高だった
話を戻すと、『命短し恋せよ男女』はそんな一般的な余命ものとは全然違っているんです。
めちゃくちゃ「ぐっとくる」。
本当に生きているかのように感じられるキャラクターたちが素晴らしい。
例えばほのかちゃんがは死ぬことよりも「ひとりぼっちだった」と思われるのが怖かったり、龍之介はほのかちゃんを崇めていたり。
それぞれにちゃんと大事だと思うことがあって、自分の気持ちに素直でぶっ飛んでいて、とてもじゃないけど「難病持ちの可哀想な子」なんて雑にカテゴライズすることはできません。
そこがすごく好きで、この作品に出会えて良かったと心から思います。
自力で特効薬見つけるの最高では?
しかも!その薬を見つけたのが本人たちっていう。
Youtuber活動をする話なので、ファンの中に凄腕のお医者様がいて…的な展開をぼんやり描いていたのですが、
大人や運に任せずに、大量論文を海外から取り寄せて読み込んで自分たちの力で見つけるって…。
熱すぎる。
なんだこれ、最高の青春小説じゃないか。
好きだぞ!!
めっちゃふざけてる!そこが好き!
さて、『命短し恋せよ男女』、全然真面目なノリの作品ではありません。
好位置の地の文も、みんなのやり取りもコミカルですごく好き。
これ、ラノベだからコミカルで、ちゃんんとキャラを描けてないとかいうのでは全然なくて。
むしろ逆です。
余命宣告を受けた中学生の心境として、ちゃんとリアルに感じられました。
こういう場合、パニックになったり怖がったり怒ったりするような凝り固まったイメージをしがちなんですが(それもリアルだと思うのですが)、
現実感がないまま、余命を直視しているようなしてないような感じが、自分だったらこうかもな、となんとなく思いました。
余命ものの同情を誘う感じが苦手なんですが、この作品ではそういうことは一切ありません。
ずっとへらへらしています。
それでいて、一番大切なものを聞かれて「命」と即答するバランスですよ。
あそこのシーンが一番しんどかったかもしれない。
楽しい作品だからこそ、悲しみが引き立つというか…。
すみません、全然うまくまとまらないのですが、とにかくすごく良い!です!!
2巻のまだまだ続く感
ちょっと話が変わって、各巻の締めについて。
1巻の終わりも2巻の終わりも「ここで終わるの?」感がないですか?
特に1巻は単巻で綺麗に終わらせればよかったのに…?とか思っちゃったりもしたんですが。
でもこれって、よく考えると、逆ですね。
1巻できれいに終わっちゃってたら、「可哀想な子たちが幸せになりました。ちゃんちゃん」っていう、なんかよくある話になってしまうのではないでしょうか。
未来のなかった4人に未来ができたことが大事なんだから、きれいに終わっちゃダメなんです。
だから、1巻は引きを残す形が正しいんだなって、読み返していて思いました。
2巻が打ち切り漫画でよくある「俺たちの旅はまだまだつづく」的な大混乱の中で終わっているのも同じくですね。
物語は彼らの人生の一瞬を切り抜いたものでしかなく、ある一点できれいにオチがつくものなんかじゃないんだぞと。
…ってごちゃごちゃ考えすぎかもしれませんが(笑)、そういうところもすごく良いなと思いました。
作品としては2巻の終わり方は物足りないし、あの内容なら単巻できれいに終わらせた方が人気が出たような気もしますが、まぁ好きだからいいやっていう感じです。
龍之介可愛い!!!
さてさて、最後に頭悪い感想を書きますが、龍之介めちゃくちゃ可愛くないですか~~~?
しゃべり方も可愛いし、好位置に敵対心燃やしてたのに仲良くなっちゃうのも、ちゃんと優しいのも、自分のことは後回しなのも、ちょっとアホなのも、めちゃくちゃ可愛い!
2巻の誰も不幸にならないドッキリにめちゃくちゃ人間性出ちゃってますよね。
めんこい。可愛い。好き。
おわりに
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
ちょこちょこ言ってるんですけど、電撃文庫の本文フォントが心の底から大好きでして、やはりしっとり系の作品は電撃文庫(のフォント)に限るなっていう感じなんですけど(早口)、
それはそれとして、電撃文庫のミニキャラ裏表紙がいつ頃からか味気ないあらすじに変わっているのが悲しくてなりません。
もちろん利便性は向上しているのでしょうが…世の中それだけじゃない…
ちっちゃい龍之介、見たかったなぁ…