辻村深月先生の初期傑作『名前探しの放課後』に激重感情を持つオタクの考察です。
長年モヤっていたあのラストの意味が分かったかもしれない…です…!
ちなみに「あのラスト」はおそらく皆さんの思う「あのラスト」ではなく、その少し前のいつかとあすなの絡みの方です。
需要のある方の「あのラスト」については、こちらで解説してますので、よければどうぞ。
長年分からなかったあのラスト…!
問題のシーンはこちら。
「依田くん、コーヒー」
辻村深月『名前探しの放課後』<下>文庫版429ページ
「あ、サンキュー」
ここかよ!っていう、いや、本当に細かいとこですみません…
でもここ、なんであすながいつかにコーヒー渡してるのか、いまいちその前のシチュエーションがぴんと来なかったんですよ。
女子慣れしてるいつかが、女の子に2人分の飲み物持たせるとは思えなくて。なんか不自然じゃないですか?
ゆる考察
あすながいつかにコーヒー渡す…なぜ?
単にいつかがなんかしてるときに、あすなが一瞬持ってあげただけ?とも読めなくないですが、だったらそう書けばいいわけで…
気になる。
あるとすれば、お店でいつかが2人分お金払って、財布しまったりしてる間にあすなが店員さんから受け取って…とか?
でも、ただのコーヒーショップだったらお会計してから物を受け取るまで時間があるし、そもそもあすなはいつかに当たり前のように奢られるタイプじゃない…。
あと、やっぱりこの場合でも屋上に行くまでにはいつか自分の分は受け取るよなぁ。
あすなが一人で買いに行った…?
そもそもここ、2人でコーヒー買いに行ったようにも、あすなが1人で行ってきたようにも取れる書き方になってるんですよね。
あすながコーヒーを持っているということは、一人で行ってきたんだろうなぁと思うけど、今度はなぜあすなを一人で行かせるのかが分からない…。
いつかが「作業の手伝いをしていた」と書いているので、「依田くんありがとう!コーヒー買ってくるから先に屋上に行ってて」的なことかと思っていたのですが、なんかしっくりこなくて。
その場合、あすながお金出すまではあるかもしれないけど、普通にいつかも一緒に行くし、自分の飲み物持たせないよな。
なんといっても彼はモテる男ですからね…。
そういうのは当たり前にできちゃってるはずなんですよ(個人的いつか解釈)。
これはいつかの粋な気遣いでは…!?
しかし、先ほど唐突にしっくりいくシチュエーションが浮かんだんです。
長年の謎が解けてめちゃくちゃすっきりしたので、全世界に発信しておきます(笑)
結論から言うと、このコーヒーはあすなからいつかへの奢り、そして一人で買いに行った。です。
どういうことかといいますと…
まず、そもそもですが、今回の件のすべてのネタバラシをした後、あすなはいつかにめちゃくちゃ感謝したはず。
この3か月間、彼はあすなを助けるためだけに奮闘していたわけですから。
(バイクの免許を取ると言ったいつかに冷たく当たったことも、きっとめちゃくちゃ反省したことでしょう…)
仲間を集めてくれたこと、誰よりも時間をかけてくれたこと…そして、ぶっちゃけお金もつぎこんでくれてます。
共有資金として、10万くらい。
額は把握してないにしても、共有資金がいつかから出ているのは周知の事実。
真面目なあすなは当然そこに気付くでしょうし、そうしたら当然、自分のために使ってくれたお金は返したいと思うのではないでしょうか。
…と考えると、「依田くんにお金を返したい」と告げるあすなの姿が目に浮かびませんか?
それに対して、これでお金もらったらぶっちゃけめちゃくちゃダサいですから、依田いつかはそういうことしません。
モテる男なので。
でも一度断ったくらいではあすなも引かないでしょう、それに対し…
「じゃあコーヒー奢って。それでチャラね」
的なことをいつかが言ったとしたら…すべてが繋がりませんか!?!?
これなら、あすながいつかにコーヒーを渡していたこともすべて納得。
そしていつかはガチなイケメンだったと。
めでたしめでたし。
おわりに
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます!
熱く語っておいてなんですが、辻村深月先生がこう考えてあのシーンを書かれたとは、私自身あまり思っていません。
自分のいつか・あすな解釈的にはこれが一番しっくりくるな~という感じです。
案外、コーヒーってただの缶コーヒーで、自分の飲み物買う帰りに自販機で買った、ってだけかもしれないですしね。
(これはこれで尊いが)