お笑いを題材とした少年漫画『ショーハショーテン!』にどハマりしているのですが、この作品を読んでいて過去にどハマりしていた作品『紅心王子』についていろいろ思うところがあり、ちょっと言語化しておきたくなったので記録します…!

『紅心王子』のネタバレを含みます。あんまり褒めてないです。
『ショーハショーテン!』はネタバレにならない程度にしか触れません。
『紅心王子』の回想祭りが嫌いだった
先に断っておきますが、私は『紅心王子』が大好きです。
休載期間中も未練がましくガンガンの次号予告を見に行っては「紅心王子は休載します」の一文を確認して、まだ決定的に打ち切りになっていないことにほっとする…というのを毎月やっていました。
コミックス帯のグッズも毎回応募していて、当選したものはいまだに大事に保管している程度には大好きです!!
ただし、後半の展開にはかなり思うところがあり、可愛さ余って憎さ百倍といったところでして、具体的には回想が憎くてたまらなかった。
その理由について、主に3点が原因と長年分析していたのですが、他作品を読んでどうも違いそうだぞ、と思ったので今回はそのあたりのことを書いていければと。
長年の紅心王子の回想へのきもち
回想の分量が多すぎる
まず一点目は、いくらなんでも回想が長すぎるだろうよと。
ギィ・アヤト・茜太郎と、数話潰す回想が多すぎる…。
さらに序盤には(回想ではありませんが)一茶帰省編なんかもあり。
何が嫌って、その間本編の内容が全く動かないんですよ。当たり前ですが。
この回想祭りどうにかしてくれよ~~~とずっと思っていました。
回想が主人公と関係ない
また、主人公であるジローと花ちゃんがほとんど関係ないのも引っかかる。
さらに2人のどちらかに語って聞かせるという体裁もとっていないので、これらの出来事をジローと花ちゃんは全く認識していません。
アヤトや茜太郎の真意をジローは知らないまま。
蚊帳の外なんですよ。主人公なのに。
始まり方・終わり方を見てもやはりジローと花ちゃんの物語なわけで、2人が知らない出来事に大幅な尺をとっているのは、個人的には違和感でした…。
回想が本筋エピソードに対し必須ではない(と思う)
ジローと花ちゃんの物語である『紅心王子』において、2人が認識していない出来事…ということからも分かるように、どの回想も本編の展開上必須の内容と思えません。
一見、「あれば理解が深まる」…という類のものにも思えるのですが、個人的には「必要ないのに作っちゃった」ものに見えています…。
休載があったりで、広げた風呂敷を畳み切れなかった、という面も大きいのでしょうが…、
一茶と睦月さんの因縁も、ギィと一茶のお母さんの因縁も、茜太郎と睦月さんの出会いも、別にジローと花ちゃんにはさほど関係ないわけで、本編に必要ない出来事同士が回想間で繋がり合っているだけのような…。
2作品の違い
こんな感じで、長らく「私は回想で尺を取る作品が嫌なんだな」と認識していました。
…なのに!
『ショーハショーテン!』というばちくそ面白い作品と出会ってしまったんですよ…。
これがまたすごい回想祭りで!
高校生のお笑いの大会を描いているのですが、10組いる出場者のほぼ全てに対し回想を挟むっていう…。
回想→本編ネタ披露→回想→本編ネタ披露…の繰り返しで、なんなら本編より回想の方が長いんじゃないか?くらい。
先ほどの紅心王子で言うと「回想が長すぎる」「回想が主人公に関係ない」に当てはまり、一部エピソードは「本編の展開に必須ではない」にもなりそう。
これは完全に私の好きではないやつ…と思いきや、回想含めめっちゃくちゃ楽しい…!読むのが止まらない!
あれ、今までの自己分析間違ってたんじゃない…?
はてこれはどうしたことか、とずっと考えていて、身も蓋もない結論に達しました。
この2作品の違いは何なのか、私は紅心王子の何が気に入らなかったのか。
端的に、回想が面白くない!
これ。
回想が嫌なんじゃなくて、回想がつまんないのが嫌だったんですね~、たぶん。
回想自体がつまらん…
ここだけは強調しておきたいのですが、『紅心王子』本編は素晴らしい作品です。
兄姉襲来編、文化祭や体育祭、交代風邪編、銀兄ちゃん襲来編、マリー襲来編…などなど、少しずつ少しずつ縮まっていく花ちゃんとジローの関係が丁寧に繊細に描かれた良作なんです、ほんとに。
好きなシーンを挙げだしたらきりがないくらい。
その一方で…あの、回想、つまんなくないです??(※個人の感想です)
繊細で唯一無二の雰囲気を持つ本編に対し、回想は…正直どこかで見たことのあるような単調な「悲しい話」という印象しかありません。
5ページくらいで済む内容をひたすら引き伸ばしている感じ…。
また、回想が本編を引き立てるのではなく、半端にがっつり回想が挟まれることでかえって盛り下がっているのが残念。
本来やるべきはジローと花ちゃんの掘り下げ、あるいは物語のキーとなる花ちゃんのお母さんの掘り下げであって、
それらが薄く済まされているのに脇役の掘り下げががっつりしているせいで、感情が分散してしまうのが惜しすぎる…。
回想がちょっと無視できないような重く悲しい話ばかりなのもな…主人公2人が霞むんだよな…。
本来はジローと花ちゃんに焦点を当てて盛り上げるべきだと思うのですが…。
また、16巻の茜太郎の回想に関しては長々とした「僕は悪くないんだよ~間が悪いだけで悪気はないんだよ~~~」というエクスキューズでしかなく、何回読んでも彼の良いところが見つけられません…。
死にかけの奥さんと向き合うことを放棄して薬探しに逃げたことも美談化されているし、考え無しにマーガレットを巻き込んで家族と引き離し寿命を縮めたことも追及されないし、残されたジローの立場・3姉弟の関係へのフォローを一切せずにマーガレットと逃げだしたことも大した理由もなく美化されていて、一体何を読まされているのかと…。
永遠の別れになると分かっていて、なぜ実子のジローにも最後に会わせてあげなかったのか。
ジローが孤立すると気付いていたろうに、なぜジロー本人にも兄姉にも何も説明しなかったのか。
悪意がないのが逆にタチが悪いタイプの迷惑な大人で、「わあそんな事情が!」とは全く思えず、ただただ振り回されたジローが可哀想としか…。
といった具合で、「回想」というもの自体が嫌なんじゃなくて、ただただ内容が気に食わなかった、ということに気付いたのでした。
シンプルに面白ければ、回想でもなんでもどんどんやれば良いんだなーということに気付けて、個人的にすっきりしました。
おわりに
誰得な記事でしたが、最後まで読んでくださりありがとうございます…!
本編だと、二度目の文化祭の狼ゲームが死ぬほど好きです。両片想い万歳。