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【ネタバレ感想】辻村深月『かがみの孤城』ラストが強い!

『ネタバレ感想』『かがみの孤城』 一般文芸
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辻村深月先生の『かがみの孤城』を再読したら改めて素晴らしかったので、感想書きます!

えしゃ
えしゃ

ネタバレ注意です!

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感想!

ラストの三連弾が強い!

全体通して素晴らしかったのですが、やはりリオン・こころ・アキと畳みかけられる三段のラストが強いなと!
ラストの強さという点では辻村作品No.1…いや、他作品含めてもなかなかこれに並ぶものはないのでは?

リオンのラスト

まずは、すべてのネタバラシが終わり、みんなが帰ってからのオオカミさまとリオンの一幕ですね。

1人だけ海外から呼ばれていて、不登校ではなく、でもいつも素直にみんなに寄り添ってくれていたリオン。

わけあり感は出ていましたが、ここでこう来るかと。
正直この現象が起きているそもそもの原因としては弱いというか、あまり説明になっていない気がしますが、まあそんなことは置いておいて、得体の知れない存在だったオオカミさまがただの女の子だったというのはぐっときます。

お姉ちゃん、リオンが中学生になった姿を見ていたんだねぇ。
年が離れていてあまり対等に話すことのなかっただろう2人が、最後に同じレベル感で話せているのが尊い。

こころ

でまあ、次のこころのラストが、短いんですけど本当に痺れる!!
よくある雰囲気出しであまり意味なさそうなプロローグをこう回収するとは!

いやこれ実際、全小中学生が一度は夢見るやつではないでしょうか?
現実に起きたら最高なやつ。

とはいえ、こころが想定していたのは女の子の話であって、イケメン転校生と仲良しというのがこころの中学校生活にプラスなのかは正直疑問ですが。
こころ、可愛いのに気が弱くておどおどしてるから、女子から目を付けられやすいんだろうなと思うし。

ただ、なんだろうなぁ、城での経験を経て(記憶はなくしているはずだけど)、ちょっと開き直ったこころなら、うまくいくのかもなと思ったり。

アキ

そしてやっぱり良いのがアキ=喜多嶋先生、のネタバラシ。

ここ正直どう入れるか迷ったんじゃないかなぁと思うんですよ。
こころので綺麗にオチついてるし、主人公のこころの後に別のオチ入れるのももたついてる感じもするし、1個に絞った方がいいんじゃ…と私のような凡人なら思ってそう。

ただやっぱりプロはすごくて、こころのきれいなオチの衝撃はそのままに、もうひとつ温かい衝撃を持ってきてくれています。

問題児アキちゃんのその後は、正直本編だけだと全く期待できないというか、暗い人生送ってるんだろうなぁという感じで消化不足なんですけど、本編の内容と矛盾なくきれいに吹っ飛ばしてくれてて本当に安心した。

元来アキは心優しくて面倒見が良い性格なんだけど、だけど短気なところもあって、たぶん自分が余裕がないときとかには悪いところが強く出てしまう感じなんだと思います。
城でのアキは悪いところが出ちゃってるときですね。

大人になって結婚して落ち着いているから、アキの本来の良いところがしっかり出せて、子どもたちに優しく寄り添えている、というのは全く違和感なく納得でした。

アキを救い出してくれる人がいて、本当に良かった!

マサムネとスバル、フウカとウレシノも良い!

あとついでに、残り二組にもちゃんと良いオチつけてくれてるのも最高。

まず、マサムネとスバルの方。
このくらいの子にありがちなちょっと見栄を張っちゃうところ、全然良くはないんですけど、それを真実にしてくれようとするスバルの優しさ。
良い友情を築けてたんだな~としみじみ。

そしてフウカとウレシノ。
こちらもこの年代ではありがちな軽薄さを持つウレシノと、そんな不純な気持ちでもちょっと嬉しいフウカ。いや~~実際にいそう…。
この2人も良い距離の縮め方をしてたんだな~と思います。

スバルがマサムネとの約束を果たしているところを見ると、ウレシノがフウカを見つけることも不可能ではなさそうですけどね、どうでしょう。
夢があるなぁ。

トリックが上手い!

そして改めて、メインとなる年代ズレのトリックが上手いですよね~~本当に。
辻村先生、いつもプロットとかかっちり決めずに書き始めると何かのインタビューで読んだことがあるのですが本気か??それでこんなすごいの書けちゃうのか…!?

こんな当たり前のことに1年近く誰も気付かないわけですが、やはり「中学生」という設定がミソだなと。

自分で振り返ってみても、中学生の頃なんか知らないことばっかりで、誰かが知らないこと話しててもいったん知ったかぶりするのが当たり前みたいなところありますもんね。
特に不登校だったら知らないことが多くても当たり前だと思うだろうし。

これが高校生だと、「何それ?」「教えて」って素直に言えるようになってくるので、1年間誰も気付かないというのは無理そう。
あとマサムネみたいなのが7人だったら、さすがにネットスラングの使い方でなんか変だなって思いそう、そこは不登校関係ないし…

中三の2人がド昔から来ているのも上手い。
年上が後の年代だったらいろいろ気付きそうだけど、昔の人が後の時代のことに気付くのはかなり困難だと思うんだよな~。
一番最後がぼんやりしたウレシノというのもそうだし。
かなり細やかに組まれていて最高だなと思います。

1個初読時に勘違いしていた…

ちなみにすんごいアホな勘違いをしていたことに再読して気付いたので告白するのですが、年度を1年勘違いしていました!!

3月にネタバラシしてるから、年度的には全員ひとつ前の年になるという初歩的な事実に数年越しに気付きました(笑)
こころたちは2006年度じゃなくて2005年度の話ですね!

青春アミーゴの伏線が冒頭にあったはず…と記憶していたのですが全然出てこなくて「あれ?」と思っていたのですが、それもそのはず、ドラマ放映されたのこの年の秋だから。
どうもこころが冒頭からドラマの再放送の話をずっとしてるのと、最後に2006年度の話だと思い込んだのとで、「ちょっと前にやった野ブタの再放送をずっと見てるんだな」と間違って記憶してしまい、冒頭に青春アミーゴの伏線があったことになっていたっぽいです。事実は終盤でした(笑)
人の記憶あてにならない…。

だから2020年のフウカも、今書くんだったら一人だけ謎のマスク少女だな…とかしたり顔で考えてたけど、実際は2019年度だからそんなことはないと。はい。(笑)

やはり辻村深月先生の青春小説は最高

で、これだけは言いたいんですが、やはり辻村深月先生は青春小説が至高!!!

なんでこんなに中高生の心の動きがリアルに分かるんだろう。
(もうとっくに中高生ではないですが…気持ちです!)

こころとクズ女子とのいざこざとかもそうなんですけど、細かいとこだと不満をぶちまけるウレシノに対して「そんなこと、ある」のくだりとか。

中高生の複雑な気持ちを言語化するのがうますぎないですか…!?
これ実際の中高生たちもうまく言葉にできないやつですよ。

本当に最高が最高すぎてやっぱり一生推します。

おわりに

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
『かがみの孤城』好きな人は、同じ辻村先生の『名前探しの放課後』も絶対絶対好きだと思うのでぜひぜひ読んでほしいですね(布教)。

プロフィール
えしゃ

えしゃ(@shallot0147)と申します!
・ラブコメ好き。少女漫画とラノベが大好きです!
・雑食&乱読
・好きなジャンル:ラブコメ、広義のミステリー、ローファンタジーなどなど
・愛読書:辻村深月『名前探しの放課後』
・推しキャラ:佐藤こはる(塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い)

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